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おれ、ハムちゃん。名前はまだない。〜第三星見研究室の日常〜

作者: 綾糸つむぎ
掲載日:2025/10/15

久しぶりに書いたのでお試し投稿です。

そのうち連載になる、かも。

 おれはハムちゃん。名前はまだない。

 ハムちゃんが名前じゃないかって?これは種族名みたいなものだ。


「おはよーございまーす! あれ、ハムちゃん。遠く見つめてどうしたの?」

 おはようあるじ。自己紹介してた。


 今元気に話しかけてきたのがあるじ。星見師って仕事してるらしい。


「自己紹介……誰に……?」

 なんかこっち見てる奴ら。多分おれの仲間。あ、ハムちゃんではないぞ。

「ざんねーん」


 ガラガラって扉が開く。あるじはもう来てるから、パイセンだな。


「おはよ……朝から何してんの」

「自己紹介だそうです」

「誰に?」


 こっちのもさっとしたのがパイセン。

 あるじから見ると星見師としての先輩らしいから、パイセンって呼んでる。本名は……ん?


 パイセン、本名なんだっけ。

「僕、ちゃんと教えたよね?」

 忘れたな。

「割と重要なことを忘れんな。君の主がライラ、僕はルイス。はい復唱」


 パイセンの眉間に皺がよってる。名前、言いにくいんだよな。


 あるじがらいら、パイセンはらいす。

「それだと僕、ご飯になっちゃうんだよなぁ」

 ……パイセンで良くね?

「いざという時所属確認できないといけないから覚えて」

 第三星見研究室所属のハムちゃんで通じねえの?

「なんでそっちは覚えてんだよ!」


 あ、研究所の鐘が鳴った。これは始業時間の合図だ。


 パイセン、仕事の時間だぞ。

「あぁもう……後でまた確認するから覚えといて」

 覚えてられたら覚えとく。


 早速星見図を確認したあるじが、ぱたぱたとこっちに寄ってくる。


「せんぱーい! 北の森にハムちゃん流星群が!」

「んなわけあるか!?」


 あるじは今日も絶好調だな。……おれは日課の散歩に出かけるか。


 いってくるぜー。

「あ、ハムちゃんいってらっしゃーい!」

「散歩か。いってら」


 ……お前ら見えてるか?

 ここに来たいと思ったら、来ると良いぞ。ちょっと騒がしいこともあるが、楽しい場所だ。

 

「でもほら。ここ読むと…」

「……えぇ……いやでも、ハムちゃんがそんないっぱいいるわけが」


 なんかハムちゃんって聞こえた。これはそのうち何匹か来るかもしんねえな。


 パイセンパイセン。

「あれ、ハムちゃん出かけたんじゃ?」

 これだけ言っておきたくてな。いるぞ。

「え?」

 おれの仲間、空にいっぱいいる。


 パイセンの細っこい目が丸くなった。びっくりしてるなー。


「……マジで?」

 まじだぜ。

 おれがここは良いとこだって言ったから、何匹か来ると思う。

「ハムちゃん……散歩の前に所長のとこいくよ」


 パイセンにがしりと身体を掴まれた。


 えっやだ。おれ散歩行く。

「十分くらいで済むから。ほら」

 ちびモードだからってつまむな! おれは散歩に行くんだー!


 じたばたしてると、パイセンの後ろからあるじが顔を出す。助けてくれあるじ。


「ハムちゃん、先輩にちゃんとついていったら今日のおやつ増やしたげる」

 行く。

「はっや」

「おやつ好きですからね」

 あるじが出してくれるおやつ、いつも美味いからな。


 パイセンの手からにゅっと抜け出して、おれは身体の大きさを変える。

 んでパイセンを浮かせて、と。


「うわぁ!? 無言で乗せるのはやめろって何度も!」

 おやつと散歩、両方譲れないからな。早く行くぞ。……こっち右だっけ。

「左だよ!?」


 さて次の流星群の日、何匹仲間が増えるかな。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです。

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