おれ、ハムちゃん。名前はまだない。〜第三星見研究室の日常〜
久しぶりに書いたのでお試し投稿です。
そのうち連載になる、かも。
おれはハムちゃん。名前はまだない。
ハムちゃんが名前じゃないかって?これは種族名みたいなものだ。
「おはよーございまーす! あれ、ハムちゃん。遠く見つめてどうしたの?」
おはようあるじ。自己紹介してた。
今元気に話しかけてきたのがあるじ。星見師って仕事してるらしい。
「自己紹介……誰に……?」
なんかこっち見てる奴ら。多分おれの仲間。あ、ハムちゃんではないぞ。
「ざんねーん」
ガラガラって扉が開く。あるじはもう来てるから、パイセンだな。
「おはよ……朝から何してんの」
「自己紹介だそうです」
「誰に?」
こっちのもさっとしたのがパイセン。
あるじから見ると星見師としての先輩らしいから、パイセンって呼んでる。本名は……ん?
パイセン、本名なんだっけ。
「僕、ちゃんと教えたよね?」
忘れたな。
「割と重要なことを忘れんな。君の主がライラ、僕はルイス。はい復唱」
パイセンの眉間に皺がよってる。名前、言いにくいんだよな。
あるじがらいら、パイセンはらいす。
「それだと僕、ご飯になっちゃうんだよなぁ」
……パイセンで良くね?
「いざという時所属確認できないといけないから覚えて」
第三星見研究室所属のハムちゃんで通じねえの?
「なんでそっちは覚えてんだよ!」
あ、研究所の鐘が鳴った。これは始業時間の合図だ。
パイセン、仕事の時間だぞ。
「あぁもう……後でまた確認するから覚えといて」
覚えてられたら覚えとく。
早速星見図を確認したあるじが、ぱたぱたとこっちに寄ってくる。
「せんぱーい! 北の森にハムちゃん流星群が!」
「んなわけあるか!?」
あるじは今日も絶好調だな。……おれは日課の散歩に出かけるか。
いってくるぜー。
「あ、ハムちゃんいってらっしゃーい!」
「散歩か。いってら」
……お前ら見えてるか?
ここに来たいと思ったら、来ると良いぞ。ちょっと騒がしいこともあるが、楽しい場所だ。
「でもほら。ここ読むと…」
「……えぇ……いやでも、ハムちゃんがそんないっぱいいるわけが」
なんかハムちゃんって聞こえた。これはそのうち何匹か来るかもしんねえな。
パイセンパイセン。
「あれ、ハムちゃん出かけたんじゃ?」
これだけ言っておきたくてな。いるぞ。
「え?」
おれの仲間、空にいっぱいいる。
パイセンの細っこい目が丸くなった。びっくりしてるなー。
「……マジで?」
まじだぜ。
おれがここは良いとこだって言ったから、何匹か来ると思う。
「ハムちゃん……散歩の前に所長のとこいくよ」
パイセンにがしりと身体を掴まれた。
えっやだ。おれ散歩行く。
「十分くらいで済むから。ほら」
ちびモードだからってつまむな! おれは散歩に行くんだー!
じたばたしてると、パイセンの後ろからあるじが顔を出す。助けてくれあるじ。
「ハムちゃん、先輩にちゃんとついていったら今日のおやつ増やしたげる」
行く。
「はっや」
「おやつ好きですからね」
あるじが出してくれるおやつ、いつも美味いからな。
パイセンの手からにゅっと抜け出して、おれは身体の大きさを変える。
んでパイセンを浮かせて、と。
「うわぁ!? 無言で乗せるのはやめろって何度も!」
おやつと散歩、両方譲れないからな。早く行くぞ。……こっち右だっけ。
「左だよ!?」
さて次の流星群の日、何匹仲間が増えるかな。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけていたら嬉しいです。




