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またな

神島町かみじまちょうの3丁目にある『スペース太郎 いつだって宇宙に夢中の研究所』の前に大和愛人警部はいた。


記者会見を終えたスペース太郎は30分ほど前に自分の研究所に戻ってきていた。大和愛人警部は直ぐ様住所を調べてやってきたのであった。


大和愛人はインタフォーンを鳴らした。


ピンポーン


『誰だ?』


『話がある』


『まずは名乗れ』


『嵐が丘警察署の大和愛人警部だ』


『了解。そのまま入ってきて』


大和愛人警部は扉を開けて研究所の中へと入っていった。


スペース太郎は15畳ほどある大部屋で天体望遠鏡を覗いていた。机の上には、顕微鏡、たくさんあるメスシリンダー、たくさんあるフラスコ、他には膨大な書物が壁一面の本棚と床に並べられていた。ある意味、殺風景だった。


スペース太郎は大和愛人警部を見て微笑んだ。


「前に大活躍したあなたを見たことがありますよ。実に勇敢でした。ちょっと失礼」とスペース太郎は愛想よく笑顔で言うと何処かへ消えていき、しばらくしてお盆を抱えて戻ってきた。お盆には大盛りの白いご飯と、お味噌汁と、大きな梅干しと、緑茶があった。


「朝から何も食べていないのでね、食事をしながらで失礼するよ。いただきマッシュルーム」とスペース太郎は言って食べ始めた。


スペース太郎は天体望遠鏡を覗きながらご飯を食べていた。


「ふんふんふん」と鼻息を荒くしながら天体望遠鏡をのぞき込む。


「ごちそうさまでした」とスペース太郎は言うと大和愛人警部を呼び寄せて書斎に連れて行った。


「私は食後にソーダ味のかき氷を食べる習慣がある。警部もどうぞ」とスペース太郎は言って冷蔵庫からかき氷を出した。


「それでスペース太郎さん。話とは?」と大和愛人警部はかき氷を食べながら言った。


「まず聞きたい。なぜ、貴方は目からビームが出せるんだ?」スペース太郎は前のめりになって聞いてきた。


「あれは俺が5才の時だった」

大和愛人警部は遠くを見つめるように話し始めた。




     ◇回想◇




・空き地にて


「やーい、やーい。お前の母ちゃん出ベソ〜」といじめっ子の小泉純一朗太(しょういずみじゅんかずろうた)8才が大和愛人をからかっていじめていた。


「違うわい! 母ちゃんじゃなくて、父ちゃんが出ベソなんだい!」と大和愛人は地団駄しながら言い返した。


「あっ、そう。ふ、ふーん。じゃあ、お前の父ちゃん出べ〜ソ!」とコイズミ純一朗太は言い直して大和愛人を虐めた。


「よくも言ってくれたな! 父ちゃんに言ってやるからな! 家の父ちゃんデベソだけど、ただのデベソじゃないんだぞ! ちょっとした権力を保持するデベソなんだぞ!」と大和愛人は言って小泉純一朗太にツバを吐いた。


「臭っ。生意気なガキめ!」と小泉純一朗太は言って大和愛人を突き飛ばした。大和愛人は地面に後頭部を強打した。目がチカチカすると一気に目眩がして起き上がれなくなってしまった。


『そこのチビ。これを期に始めてみようじゃないか?』という謎の言葉が頭の中で鳴り響いた大和愛人5才は戸惑っていた。


『授けよう』と再び謎の言葉が頭の中に鳴り響く。


「何をボンヤリしてるんだよ! クソガキめ!」と小泉純一朗太は言って大和愛人の頭を叩いた。


大和愛人は、突然、空に向かって目から紫色のセクシャルなビームを出した。


「うわっ!! 怖いよ〜!! うわーん!!」と小泉純一朗太は驚いて泣きながら走り去っていった。


「今日は僕の5才の誕生日だ! だから目からビームを出せるようになって少し大人に近付いたんだな!」と大和愛人は嬉しさのあまりスキップしながら家に帰ろうとした。


『おい、チビ助。そのビームを磨きに磨きかけろよ』とまたしても、謎の声が大和愛人の頭の中に鳴り響いてきた。


「あんた、誰さ?」


『俺かい? 俺はお前の未来だ』


「えっ!? 未来?」


『またな』


「ちょっと、そこの声! 待ってよ。あんたの名前は?」


『フフフ。またな』


大和愛人は強烈な耳鳴りを感じて倒れ込んでしまった。





つづく

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