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呼び掛ける

『超能力者と言えばだ、最近、気になる人物を遠目で目撃したんだ。先日の昼下がり、街なかで女を人質にして喚く男がいて暴れておったんだな。女の喉元にナイフを突きつけてな。しばらくして全裸の男が現れた。両手を挙げてナイフの男に近づき、目からビームを出してナイフの男をブチ殺して抹殺したんだよ』とスペース太郎は思い出しながら話した。


『あの日の日本男児の全裸男さんよ、今このテレビを見ていたら、すぐに私に連絡をしてほしい。目からビームを出す人間なんて初めて見た。是非、話を聞きたい』とスペース太郎は頭を下げて目からビームを出す全裸男に呼び掛けた。


嵐が丘警察署のテレビの前にいる、早乙女あつ子、服部ジュリランゲーニョ、マスタングのオバさん、デンジャラス炎乃香は一斉に大和愛人警部を見た。


「これって大和警部のことじゃないですかね?」と早乙女あつ子は言った。


「それは俺じゃないね」と大和愛人警部は仏頂面で言った。


「全裸で目からビームを出せるのは大和警部しかいなっすよ」とまだ何の活躍も人柄もないデンジャラス炎乃香は言った。


「そんな奴は他にもいるだろうが! 何で俺なんだよ!」と大和愛人警部はブスッとして言った。


「いませんいません」とマスタングのおばさんは首を左右に振って否定しながら言った。


「目からビームを出す日本人なんて他にも、もっとウジャウジャいるはずだ。何で俺だと決めつけるんだよ?」


「目からビーム出す日本人なんて、めったにいませんよ!」と服部ジュリランゲーニョは強く否定した。


「いるはずだよ! いるはず! 俺だけが目からビームを出せるわけじゃないはずだ。日本人の大部分は目からビームを出せるのに出せないフリをして真面目ぶってカマトトぶっているんだ!」と大和愛人警部は激怒して机を蹴った。


「大和警部、そもそも、何で目からビームを出せるんですか?」と早乙女あつ子はシンプルに疑問を投げ掛けた。


「逆に何でお前たちは目からビームを出せないんだ?」


急に皆は黙ってしまった。


「ビームなんて誰でも出そうと思えば出せるのに出そうとしないから出せないんじゃないのか? 誰にでも出せるんだよ。出す勇気がないから出さないだけの話だと思う。やるか、やらないかの違いだ。行動力の違いになってくる話だと思うね」と大和愛人警部は力説した。


「それは違うと思う。大和警部は自分だけが目からビームを出せることに怯えているんだと思うよ」と風ジョニーが現れて言った。


「ジョニー、帰ったんじゃなかったのか?」と大和愛人警部は扉の前にいる風ジョニーに言った。


「大体の人間はウンコしか出せない。他にあるのは鼻クソかな。そうさウンコ&鼻クソだけだ。目からビームは普通はあり得ないんだ。それは大和愛人警部の個性であり武器でありギフトなんだと思うよ。自分を嫌わずに許してあげなよ」と風ジョニーはウインクをして部屋から出ていった。


「ナメた真似しやがって。フッ」と大和愛人警部は言って微笑んだ。


「よし、皆、俺はスペース太郎に会いに行くよ」と大和愛人警部は言った。


「わぁー、凄い。大和警部なら宇宙人をボコボコにしてくれるぞ」とデンジャラス炎乃香は拍手しながら言った。


「話を聞きに行くだけだ」と大和愛人警部は言って目を見開いたまま立ち尽くしてしまった。


「うん? 大和警部どうしましたか? 大和警部、大和警部?」と早乙女あつ子は大和愛人警部の肩を揺すりながら話し掛けた。





つづく

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