【第63話 愛は最強の力】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
「終わりだ。時を律するとしましょう」
刀を突きつけ、アトロは言った。
「まあ最後に、俺の腹太鼓でも聞いてくれや」
それとは反対に刀を置き、妖力を溜めようと構えるクロ。
もはや虫の息になりつつあるが、気力を振り絞りクロは立ち上がった。
「能力では決着が着かないと言っているのに。仕方ありませんね」
アトロは刀を歪んだ空間へと放り収め、妖力を解き放った。
「せめてもの手向けです」
「腹太鼓、ひとたび叩けば定め事さえも、水面に揺れる若草のごとし」
「天運・天命・廻り合わせ。時は定めに従う因果のままに」
ふたりが同時に術を唱え妖力を高める。
腹太鼓の音がポンッと響く。
「律!」
ふたりの間の空間が歪みギギギと不穏な音を立て、お互いの妖力が、時を戻す力と律する力が拮抗し戦っている。
ギギギギ……カチカチ、カチ、ボーン。
大きな時計の針が止まる様な音がして、そしてアトロが動き出した。
グググと引っ張られる様に後ろ向きに抗いながらも歩かされている。
「な、ど、どこにこんな力が!」
やがて抗う事が出来なくなりぐるぐると回転し、さっきまでいた場所に立ち静止した。
クロがアトロの時を戻し、そして止めたのだ。
クロがゆっくりと足元に置いた刀を拾う。
それをただ目で追う事しか出来ないアトロ。
傷付いた足取りでクロが近づいて来る。クロが息も絶え絶えにアトロに笑いかけた。
「アトロ、教えてやるよ。強いのは神でも妖怪でも兵器でもねぇ。誰かを信じるって気持ちだ。それが人を強くする。ここよ、ここ」
そう言ってアトロの胸をドンと叩いた。アトロがクロを鋭く睨みつける。
「しばらく眠ってろ」
クロはアトロの横をただ通り過ぎる様に静かに斬った。音の無い静かな空間にただクロの歩く、砂利の音だけが響く。
「そして、時は動き出す」
クロが指を鳴らすと時が再び動き出した。
刀で斬った音と共にその衝撃がアトロを襲い、アトロはその場に倒れた。
ふらつく足取りでアトロの方を見て「へへっ」と笑った。
「俺は愛って名の最強のスタンド使いだ馬鹿野郎!」
空に向かって吠え、そしてクロは後ろへそのまま倒れ込んだ。
「ダメだ、もう一歩も動けねぇよ」
清々しく空を見上げた。空はどこまでも青く高く、神であるクロでさえ自分が小さく思えた。
「変わんねぇって、俺もお前も」
そう言ってクロはしばし目を閉じる事にした。したところで徹と咲良が走り込んできた。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




