【第61話 神に喧嘩を売れ!】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
「ガタガタぬかすなガキ! みんなお前の為に、手前の為に戦ってんだよ! 人間だから神に勝ち目がねぇかって!? やってみなきゃ分からねぇだろ! 咲良、立て。もう一度お母ちゃんに会いに行け!」
「わたしは……わたしはもう」
「俺は咲良と徹が再び出会うのをずっと待っていた! 咲良の母ちゃんの願いは己が助かる事じゃねぇ! お前が笑って生きられるようにだ! 咲良!」
鈴森さんのお母さんは自分の命よりも、鈴森さんが笑顔で生きれる事を願ったんだ。
自分の巫女であった運命を受け入れ、そして鈴森さんの笑顔の為に抗ったんだ、運命に。
「……咲良ちゃん、行こう。未来を変えられるのは僕らしか居ない! 辛くても進むしかない!」
俺の心はぐちゃぐちゃだった。こんな怖い神とか妖怪を相手にして戦って、そして鈴森さんは過去に行ってお母さんの死と向き合わなきゃいけない。
絶対に辛く悲しい事が待ってる未来に進まなきゃいけない。
でも、それでも俺は、それで咲良ちゃんの運命が変わるのなら! 俺は未来に向かって進む!
鈴森さんに伸ばした手は、なんとも格好悪く怖さで震えていた。
「町田くん……」
「人間風情が、神に歯向かって生きていけると思うなよ」
アトロが手を伸ばすと空間が歪み、その渦から刀が出て来た。その刀を構えこっちに切っ先を向ける。
恐くて震えが止まらない。手も足も言う事を聞かない。
「徹! やりてぇ事があんだろ!? 運命変えてぇんだろ!? 笑顔が見てぇんだろ!? 上等じゃねぇか! やりてぇ事があるなら、神に喧嘩売ってでもやれや!」
俺は咲良ちゃんの手を取って強く握りしめた。
咲良ちゃんの手も震えていた。この手だけは絶対に離さない。俺が絶対に咲良ちゃんを笑顔にしてみせる。
「青春してろ馬鹿野郎。すぐに飛ばしてやっからよぉ」
クロさんは刀を抜き構えた。
「喧嘩上等!」
皆散り散りに戦い始めた。
俺は咲良ちゃんの手を引き安全な場所へと走った。
俺は何も出来ないただの一般人だ。ボクシングもしたことないし、日中外に出て運動するなんて事もしたことない。あとは頼んだ! その代わり、お前らの後は俺に任せろ!
仔狸仔狐たちが蜘蛛の子を散らした様に走り回り声を上げ、オグマの攻撃にプーが当たりそうになりオシッコをちびり、隙間を縫い逃げ惑い、金城がテニスラケットを振り抜いた先でフクロのお尻にヒットし、隙あらば誰かに攻撃しようとしたら田中とぶつかり引っ掻いて、断念してまた走り回り、味方と思って手を繋いでいたらタマとスーの敵同士、お互い顔を見合わせ悲鳴を上げる。そしてまた走り回る地獄であった。
戦いの喧騒の中、クロとアトロの間合いには自然と誰も入ってこず、ぽっかりと戦場に穴が開いているようだった。
クロとアトロの刀が激しくぶつかり合う。お互いの力が拮抗し刀がカチカチと音を立てていた。
「場所を変えようじゃねぇか、お前の弟子たちも巻き添え食うぞ」
「互いにお荷物は居ない方が賢明か。利害が一致した」
クロがアトロの刀をいなし去っていき、それをアトロが追って行った。
それと同様に、ロノとモイラ。俊介とオグマ。金城とストス、子供たちと田中・オモイがそれぞれ戦いの場を求めて、あるいは避難の為に去っていった。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




