表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

59/75

【第59話 死の真相】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


 俺達が公園に着くとそこは異様な光景だった。

 さっき見かけた鈴森さんのお母さんを除いて、みな動きが止まっていた。風の音も、砂ぼこりも全てがその途中で動きを止めていた。

 空から異様な音がする。

 それも次第に大きくなっていく。

 男の振り上げた刃物がガタガタと震えている。


「鈴森さん見ちゃダメだ!」


 咄嗟に嫌な予感がして鈴森さんに声をかけたが間に合わなかった。

 男の刃物が動き出しおばさんの腹を突き刺す。

「あっ!」

 男は急に現れたおばさんに驚いている。

「ひ、ひひひ誰だお前は、いつの間に」


 おばさんは男の腕をしっかりと掴み、いたって冷静に警察に電話をかけていた。

「たぬき公園で傷害事件です。小さな男の子と女の子が刃物を持った男に」

「くそぉ!」


 おばさんは殴り飛ばされ、地面に伏せた。

 男は一目散に逃げようとしたがピタリと止まった。

 力を使い果たし呆然としている女の子をぐるりと振り返り、足元に転がるひよこのぬいぐるみを拾い去っていった。


 これが過去。鈴森さんから笑顔を奪った運命。


 地面に伏せていたおばさんが這って女の子に近付いていく。お腹からは鮮血が流れズルズルとその痕跡を残していく。


「咲良……あんた、もう力使えるようになってたんだね。さすが母さんの子だよ。でも思い出は大切にするんだよ……大きくなったね。……ごめんね」


 ただ立ち尽くしておばさんの声を聞いた。どうする事も出来ない。間に合わなかった。おばさんを救う事が出来なかった。

 鈴森さんの運命を変える事が出来なかった。


「卒業式も入学式も、お嫁さんになる時も……母さんは見れそうにないよ。ごめんね……咲良。愛してる……ずっと、ずっと愛してるから……きっと……」

 そう言って、おばさんは喋る事も動く事もなくなった。

「あぁああああああああああああ!」


 鈴森さんが膝から崩れ落ち泣き叫んだ。髪の毛をぐしゃぐしゃにして、大きく錆びた声で。その声は俺の胸にひどく突き刺さった。


「鈴森さん! 鈴森さん!」


 俺は必死に声を掛ける事しか出来ない。名前を呼んであげないと、呼び続けてあげないと、鈴森さんが壊れてしまいそうで。


「まさか……この過去は変えられない……」

 オモイが目の前の景色に愕然としながら言った。

「咲良さんのお母様が思い出の全て、自分の命と引き換えに願ったのは自分が助かる事ではなかったんです! クロさんはその願いを聞き入れて……」

「どーゆー事だよ!!」

 思わずオモイに掴みかかる。


「咲良さんのお母様は運命を嘆くより、未来の笑顔に願いを託したんです!」


 空に渦が出来、空気が吸い込まれていく様な、そんな音がし始めた。

「時が戻ります! ご準備を!」


 目の前が真っ白に光り輝いた。

 泣き崩れる鈴森さんの両肩を強く掴んだ。

 鈴森さんがこのままじゃどこかへ消えてしまいそうな、戻って来ないようなそんな気がして。

 それくらいの事しか、俺には出来なかった。




完結するまで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ