【第57話 死ぬ覚悟】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
「ぬオラァ!」
オグマが掴まれた拳を振りほどくのよりコンマ早く、俊介は距離を取った。
金城と背中合わせになる。
ふたりとも息が既にあがっているが、オグマとストスは呼吸のひとつも乱れてはいなかった。
「あー、ムカつくんだよなぁ人間って」
オグマは小さくなっていく徹たちによそ見をしながら言った。
「覚悟出来てるか?」
圧倒的力の差。結果は見えている。
「何を?」
「色々だよ」
「そうね。1個だけまだ出来てないかな。だからまだ死ねない!」
「その意気だ」
オグマとストスが同時に2人に襲い掛かる。
俊介と金城はお互いの背中を預ける陣形で戦う。
オグマと俊介はほぼ互角でありながらも、やはりまだ蹴りの対応には追い付いていない。ボディを入れたところでオグマの膝蹴りが俊介の脇腹をえぐる。
金城はやはり戦い慣れていないせいで、隙が出来るとストスは俊介に後ろから斬りかかり、それを金城が追う形だ。
俊介さえ崩せばあとは楽なものだ。俊介は半ば金城を庇いながら戦っている。その分体力の消費も激しい。金城を気にして戦える相手ではなかった。
どのくらいの時間が経過しただろうか。
俊介はもはや汗をかかなくなり、金城はラケットを握っているので精一杯だった。
金城のラケットが刀で弾かれボディががら空きになる。ストスは刀の柄で鋭く金城の腹を突いた。
「彩夏!」
気を取られたその時にはもう遅かった。
オグマの左回し蹴りが俊介の脇腹を狙う。ギリギリ肘でガード出来たが蹴りの衝撃で腕が上がらない。
目線はしっかりとオグマの右ストレートを捉えていたがもはや身体が追い付いていなかった。
俊介は金城と背中合わせに倒れ込んだ。
金城は刀を既に突きつけられている。一度倒れると立ち上がる気力も体力も絶望的に消費する。
オグマに頭を鷲掴みにされ、頭がミシミシと音を立てる。
「人間にしちゃあ手こずらせてくれたな。さすがたぬきじじぃの力だ」
早く体力を回復させなくては。
まずはオグマの手を振り払い、なんとか金城だけでも俊介は助けたかった。
「クロ一匹の力じゃない。これはあいつら一族の願いだ。想いは使う者を強くする。侮るなよ」
「じゃあどうするよ、こいつら」
「殺すより他に道はない」
「おっしゃ、ほんじゃあジッとしてれば痛くねぇからな」
手をどかそうにもビクともしない。終わりだ。
オグマが大きく爪を振り上げ、ストスが刀を構える。
「すまない……」
「徹ちゃん……」
俺たちは全速力でたぬき公園へと走った。
くそ、こんな事なら運動部にでも入っておくんだった。
横っ腹が痛くて喉はカラカラだ。でもそんな事言ってられない。俺たちが運命を根本から変えてしまえば、もしかしたらあいつらだって助かるかもしれない。
無事で居てくれと祈りながら、俺達は運命の始まりへと向かった。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




