表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/75

【第51話 温めてきた思い】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


 俊介越しに金城の顔が目に入る。

 いつも明るく馬鹿みたいに笑ってるあいつがが心配そうな顔をしてる。その後ろには鈴森さん。

 鈴森さんの方が不安だし、悲しいし、焦っているに違いないんだ。

 それなのに俺は自分の事しか考えないで。俺が不安にさせてどうすんだよ。


「猪突猛進なのはお前のいいところだ。だけど焦ったって何も始まらない。お前が運命変えられるって信じたんだ。お前がお前を信じろ。俺たちはお前を信じた」


 でっけぇ男だよお前は。とても同い年とは思えないな。


「俊介、悪かった」

「大丈夫! 俊ちゃんと咲良ちゃんと、みんなで運命変えようよ!」

「僕も出来る事はお手伝いさせていただきます」

「みんな、ありがとう。でも一体どうしたら……」


 気持ちは落ち着いた。

 が、何をしていいのか分からない状況は結局変わってない。

 何をどうしたらこの運命を変えられる? そもそもどうやって鈴森さんのお母さんを探せばいい? どうやったら死ぬ未来を回避出来る?

 そんな事が、俺たちに本当に可能なのか……。考えろ。考えろ。


 諦めと思考の狭間にある感情が、空気として俺たちを包もうとしていた。



「徹。お前の物忘れが激しくなり始めたのは今日、この日を境にだ」



 俊介が口を開き、その空気を退けた。

「え? 今なんて」

「6年前の今日、お前と会ったんだ。その日は泊まる約束をしていて夕方過ぎにお前の家に行ったら、お前が玄関先で呆然と立ってた」

「なんだよ、そんな話初めて聞いたぞ」


「何度も話したさ。春夏秋冬、朝、昼、晩、口頭でも手紙でもありとあらゆる条件下でな。でもお前はすぐに忘れちまう。お前はある特定の思い出が定着しないんだ」


「クロさんに思い出をお供えしたからですね」


「あぁ恐らくな。この話も多分すぐに忘れる。だから今、みんなが居る内にここで話す。そしてこれから話す事は、この運命を変えに来た俺らの核心に迫る事になる」


 急に緊張感の矛先が俺にきた。俺たちが鈴森さんの為に頑張るもんだと思ってた。が、どうやら俊介の口ぶりを見るに俺も今日、この過去のこの日に関係しているらしい。


「徹ちゃん。大丈夫。私たちがついてる」

「話してくれ」

「俺たちは自分の意志で間違いなく過去を変えるためにここに来た。でも、それがもし決められた事だとしたら?」

「え? どうゆう事?」


 早速何言ってんだ? 自分の意志で間違いなくここに来たのに決められた事?

 権利もあるけど義務みたいな話か? 概念の話をしているのか?


「これはあくまで憶測だし、難しい話になる! けど、とりあえず聞け!」

 顔に出てたらしい。

「おう!」

 とだけ元気に返事をしておいた。


「いいか? こう、ひとつの時間軸があるだろ?」


 俊介は自分の身体の前に一本の時間軸をジェスチャーで表した。これは難しそうな話になるぞ。俺たち3人と1匹は食い入るように俊介の話を聞いた。こうゆうのは姿勢が大事だ。


「これが今日、この日」

 左の人差し指を立てた。

「そしてこれがさっきまで居た時間だ」

 右の人差し指を立てた。

「ここから戻って、つまり思い出をお供えして、過去に行った」右手の人差し指が左の人差し指へと移動した。


「と、なると、過去のお前は未来に思い出を供える事が確定した未来を歩く事になる!」

 左手の指人間が右手の方へ歩いてみせた。

「だから出来た思い出から次々に忘れていったんだ!」

「なるほど! 思い出の事前予約ってこと!?」

 金城も驚きの息を漏らす。鈴森さんも目を大きく開いて驚いた様子だ。なるほどな。


「……要はぶっ飛ばせばいいんだろ?」

 我ながら誰を?

「お前は週刊少年漫画の見過ぎだ」

 ゴム人間とか忍者とかな。


「逆を言えば、今日この時戻りを終わらせてしまえば、もう思い出は消えない」

「現在時間で言う今日の為に、思い出を供えてきた訳ですからね」

「そのはずだ」


 オモイと金城はすっかりこの状況を把握したようだ。恐らく鈴森さんも。

 となるとだ。俺の推理が正しければこの状況に取り残されているのは俺だけという事になる。


「ちょっと待てよ。さっきから思い出がどうの言ってるけどさ、オモイ何か知んないの?」

「クロさんに供える思い出の条件、期間や内容などはクロさん自身も分からないんです」

「何だよそれ」

「俊ちゃんの推理に全てがかかってるって事ね」


「任せろ。俺の中ではもう繋がってんだよ」

「かっけぇ」かっけぇ。


「お前は今日この日を境に思い出を、鈴森さんを忘れた。更に言うと鈴森さんが徹の事を覚えていないのも……」

「思い出をお供えしたって事!?」

「え、そうなの!?」


「あぁ、だけどそれがいつどのタイミングなのかは分からない。今からかもしれないし、俺らが元の時間に戻ってからかもしれない」


「……」


「大丈夫! 何が大丈夫か分からないけど、多分大丈夫!」


 ハッキリ言って俺の脳みそじゃ何も理解出来ないし、その上当時の記憶も全く無いただの役立たずだ。

 だけど、俺は努めて元気に明るく気持ちだけは無くしちゃいけないんだ。俺にはそれしかない。



 俊介は更に推理を続けた。




完結するまで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ