【第49話 力を求めし者】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
この山は一年中暗雲が立ち込め、景色を灰色にしていた。
落雷による死者も少ないないらしいが、中にはその雷を求めて来る人間もいる。
天からの強い力に耐えた人間は、新たな力を手に入れる事が出来ると信じているのだ。
様々な人間がこの山に来て、二度と下山しなかったり、出来なかったり。下山してまた登ってを繰り返したり。
皆目的はひとつ。神へと近付く為。
そのひとりに神崎はいた。
彼は熱狂的な運命論者で自分こそが神の代弁者であり、全ての行いは神の意志による崇高なものだとしていた。
傍から見ればその神のご意志とやらは都合よく湾曲し解釈され、行使されていた。
神崎は霊力を高める為に今日も祈りを捧げている。
神崎の様な人間がこの世界に現れてしてしまう事もまた、運命なのだろうか。であれば運命とは、神とはなんだろうか。
「元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉るぅぅううう!」
激しい落雷が神崎の姿を写し出した。
何故こうも都合よく最後の台詞で雷が落ちるのだろうか。
「神よ! 彼女が花開きました!」
とても満たされた笑顔で、神崎は神に感謝を述べた。
薄汚れたヒヨコのぬいぐるみを拾い上げ、舐め回す様に見始めた。頬は少し紅潮している。
息遣いが荒くなり、それは次第に笑い声へと変わっていく。
「わたしに、その花を摘む権利をお与えください! きっと誰よりも綺麗に飾ってみせましょう。んふぅっ、ふひひひひひいっひひひ」
また都合よく雷が鳴った。
神崎は離れていても確かにその求める力の存在を感じ取っていた。
機は熟した。ゆらりと立ち上がりお気に入りのぬいぐるみと共に山小屋を後にした。
耶志眞町に向かって。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




