【第38話 田中の大仕事】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
「はわわわわ。本官この町に着任して以来の大事件でござるよ~。無事にお役目が果たせるか不安でげす。はわわわわ! 緊張で語尾が全部違うでがんす!」
なんて独り言を言いながら慌てふためいている。
ミーンミーンミーン……ジジジジジジ……。
夏のギラついた視線が容赦なく田中の顔面に降り注ぐ。
それもそのはず。帽子が前後ろ逆だ。
地面が揺らぐ。……ちょっと木陰に移動してみるもたぬき神社の入り口からは少し遠ざかってしまい見張っている感がない。
そもそも日陰に入っているとあまり見張っている感が出ないから皆何となくそれをやらない。
すぐ苦情とか入っちゃうからね。
警察官も大変だ。都会ではコンビニで買い物しただけでクレームが入るらしい。
何となく不真面目な、何となく職務を全うしていない様な気がするからだ。
「この「何となく」ってのが意外に厄介なんだよな~」
鳥居の前に戻りながら哲学的な事を柄にもなくぼやいた。きっと暑さで思考回路がいつもと違う回り道をし始めている。
「暑い日にテクるとかマジホワイトキック~」
「なによ白い蹴りって」
「しら・ける。って事~?」
「正解~!」
巫女服の3人の女の子がキャッキャッ言いながら近づいてくる。
おや? たぬき神社の人かしら? それとも今日はお祭りだったかしら?
「こんにちは。どうしたのかな? お父さんお母さんは? 子供だけでウロウロしてるとお化け出てきちゃうぞぉ~」
あんなにテンション高く騒いでた子供たちがスゥと真顔に変わった。
「超レシーブ」
「ふん、心配ご無用よ」
「弱そうな人~」
可哀想なことに、たった子供3人にすら出会って2秒でマウントを取られてしまう田中なのだ。
「よく分かったね! そう! 田中さんは胃腸が弱いからいつもビオフェルミャンを持ち歩いているんだよ!」
田中はすこぶる馬鹿であった。そう、それが彼の良い所でもあり、子供にマウントを取られる様な人生であったとしても、元気に生きていける所以である。
「頭もよわ~い」
3人はまた笑顔を取り戻し楽しそうに弾んだ。
それを見た田中も楽しくなって一緒になって弾んだ。
ただ彼女たちとの少し距離は空いていた。
「こら! 先に行かないの。危ないでしょ」
声のする方を振り返って見ると、そこにはカジュアルにパンツスーツを着こなした赤いメガネをかけたお団子ヘアーのお姉さんが少し息を切らして立っていた。
ゴロゴロゴロドッカーン!
雷が落ちた、田中の心に。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




