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【第37話 動き出す運命の歯車】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


「おうボウズ共! 何やら楽しそうじゃねぇか。もう終いか?」

「「「わーっ!」」」


 ばったりクロさんご一行と出くわした。

 ロノさんは日傘を優雅に差し微笑んでいる。

 子供たちは駆け寄ってきて鈴森さんと金城をベタベタと甘えている。いや、あれは確信を持って触りたいところを触っているな。


「今しがた落語王への道を諦めた所です」

 俊介が事の顛末を一言で説明した。

「えー」

「残念~」

「つまんねぇの~」

 青・緑・赤が喋る。


 君らはゲシッその順番で喋るようにゲシッ教育されたのかい? ゲシッ。


 執拗に赤が俺のふくらはぎにローキックをキメてくる。

 これをまず教育してもらいたい。


「こらこら。ダメでしょ」

 ロノさんがふわりと口を開いた。

 そうですよロノさん。言ってやってください。


「つまんなくても彼は懸命に生きているの」

 心は痛いわ、足は痛いわ、なんなの?


「ところで町田ぁ。お前、運命変えてみたいって思わねぇか?」

 また運命についての質問か。好きだなこの人も。

「運命ですか……でも信じてはいないですし」

 愛想笑いで切り抜けよう。



「鈴森の運命を変えられるとしてもか?」


 ぶわっとひとつ強い潮風が吹いた。

 その質問は俺の心にいたくベタついた。

 クロさんの口から鈴森さんの名前が、しかも運命とリンクして出てくる事が、何故かすごく特別で、大切な事に聞こえた。


「え?」

「運命を変える為に」

 青が鈴森さんに負ぶわれながら。

「その為に僕らが居るのに」

 緑が金城の太ももをスリスリしながら。

 肩をぽんと叩かれた。振り向き下を見るとドヤ顔の赤が居た。

「ビビってんの?」

 無性にムカつく。いつの間にサングラスなんかかけたんだよ。


「時は満ちた。着いてきな、ちょっくらたぬき神社まで行くぞ」

「え、ちょっとどうゆう」

 突然の事に理解が追い付かない。

「皆さんも是非。悪い様にはしませんから」


 まあ、ロノさんが? そこまで言うのなら? やぶさかではありませんが?

 なんてフラフラ着いて行こうとしたら、けたたましい笛の音が聞こえてきた。

 耳をつんざくこの音、本当に不愉快。だし、もうこんな近くに居るなら笛吹く必要ないだろ。


「大変大変大変大変大変態変態変態変態!」

「変態はお前だ」

「紀彦兄ちゃん帽子落ちたよ」


 白いチャリンコをガシャンと、かなぐり捨てて帽子を拾いに行く。

 お前血税から賄われた備品は大切に使えよ。

「どうしたの紀彦兄ちゃん?」

 田中は帽子を拾って被り直し姿勢を正した。


「変な奴! 出た! 通報あった! すげぇ……」

「すげぇって何だよ」

「こんな明るいうちから変質者が出たの?」

「違う違う違う! なんかこーめっちゃ怖いらしい!」

「何が怖いんだよ」

「イナゴ! イナゴの食べ歩き!」

「イナゴの佃煮だったら今日の朝私食べたよ?」

「ちがーうの!」


 田中は血相をより激しく豹変させ金城に詰め寄った。

 金城がその変顔を見て爆笑している。平和なもんだ。


「イナゴ食べるの! 生で! 生きたまま! 捕まえて! 家族で! INAGO FAMILY!」

「おい紀彦。お前今家族っつったか?」

「そうなんですよ! スーツ着た夫婦と女の子が3人でビュッフェ形式すたみな太郎!」

「あらあら」


 ロノさんが少し困った顔をし、クロさんはいつになく真剣な顔をしていた。なんだ?


「どうしたの~?」

「イナゴ食べた~い」

「バカ、ハンバーガーの方がうめぇだろ!」


「もう来ちまったか……おい紀彦!」

「はい!」

「俺らは今からたぬき神社に向かう! そいつらを絶対に上げるなよ!」

「え? あ、はい! 就任しました!」

「行くぞ」


 とだけ俺たちに声を掛けると、クロさんはわき目もふらず神社の方へ走り出してしまった。

 何となく俺たちも雰囲気に飲まれ、行かなきゃいけない緊迫感から走って後を追った。


「いってらっしゃいませ!」

 田中の綺麗な敬礼を見ると「あ、確かに警察官なんだな」と何となく納得させられる。

「……よし! 頑張るぞ! ……って、俺も神社の階段までは一緒! ねえ待って!」


 ガッシャーン!


 急いで自転車に乗ろうとしたからか自転車ごと転ぶ音がしたが、俺たちは振り向かなかった。






 ぜぃ。ぜぃ。ぜぃ。


 青い制服が汗を吸ってより青くなっている。

 田中は立漕ぎして何とか、ほぼクロさん達と同時に神社下まで辿り着く事が出来た。

 クロさん達の登って行く後ろ姿を見送りつつ田中は一安心していた。

 せっかく任されたクロさんからの任務。

 自分の到着よりも早くINAGO FAMILYが神社へと行ってしまったら元も子もない。


 制服のネクタイを執拗に左右に振って締め直す。

 その無駄な動きで帽子が落ちてしまった。拾い上げて被り直す。田中よ。帽子の向きが逆だ。

 そんな田中を横目に、徹達は急いで神社への階段を登り始めた。




完結するまで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

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