【第32話 ギャルと泣き虫の恋路】
こんにちは。
御覧いただき、ありがとうございます。
舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」
是非、お楽しみ下さい。
青が少し歪んだ笑顔で話しかけた。
「えっと……こんにちは!」
ひっ! と少し声が漏れた。金髪の綺麗に巻かれた髪が、かすかに震えている。
彼女の頬が赤いのはチークのせいなのか。バスのテールランプが反射しているのか。
それは彼女にしか分からなかった。
「あの! リアルガチワンキュンしました!」
「ん?」
青の目がキョトンと大きくなる。聞き取れ……なかった、のか?
「いや、だから! スマホで個チャしたいんで番号教えて下さい! あ! IDでも可! え? 振る系? 読む系? 読まれ系?」
更に興奮した様子でギャルは青に詰め寄る。
もう後には引けない。押して押して押しまくる。
ギャルは決して引かない、媚びない、省みない。
「あ、あいでー? あっ! 外国の方なんですか? Can you speak Japanese? I don’t speak English」
「ちょっと出てるわよギャル語!」
「何言ってるのか分かんないね~」
「きゃん? あっと、ちょ今から一緒にギューしばきませんか!? あ! もしくはジモる!? ジモって吉る!?」
彼女なりに一生懸命デートに誘ってくれているのだが、それが彼に伝わる事は決してなかった。
もしかしたら私達は、同じ日本語を喋るからこそ、意思の疎通が難しくなっているのかもしれない。
そんな大切な事にふと気付かされるが、今はそんなことどうでも良かった。
「え? え? え!? ごめん! 何言ってるか分からないよぉ~!」
完全にキャパオーバーだ。
青は泣きながらボールプールへダイブした。
ボールが彼の形に震えている。
「とりあえず「うん」って言っときゃいいんだよ」
赤はそう言って悪態をついた。
「泣いちゃった~」
緑は楽しそうにカプカプ笑ったよ。
ギャルは放心状態でフラフラとバスへ戻って来た。
それを囲む女子達。
「ヤバいテン下げ。マジ卍」
何を言っているかは分からないが、ちゃんと傷心しているらしかった。
「じゃあ次ね~」
「ちょっと! まだ心の準備が!」
今度はお花畑が赤リボンをリングへと押し出した。
「おい、今度お前行ってみろよ」
「いいよ~」
緑の男の子は何も考えていないのだろうか。いつもと変わらない笑顔でポテポテと赤リボンの方へ歩いていった。
近付いてくる緑を見て赤リボンは背を向ける。
背を向けた先でもバスの後ろから先ほどの敗者と他人事のお花畑が「いけいけ!「がんばれ~」と視界がうるさい。
そうゆうのやめて! やめなさい!
と、赤リボンが手で合図していると先ほどの男の子が急に視界に入って来て顔を覗き込んだ。
2回戦の始まりである。
完結するまで毎日18時に更新されますので
楽しみにお待ちいただければ幸いです。
2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。
全部で4部作ありますこのシリーズ。
恐らく全てがラノベ化されると思いますので
そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。
応援の程、よろしくお願い致します。




