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【第16話 元気過ぎる3つ子】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


 3人の男の子が全速力でこちらに向かってくる。

 皆ワイシャツに青・緑・赤の蝶ネクタイと、揃いの色したサスペンダーを付けている。ワイシャツにはそれぞれの色をしたポケットが胸に縫い付けられていた。

 3つ子か? 元気なこって。


「そーら帰ってきや……!」

「「「どーーーーーんっ!」」」


 クロさんは、3人に体当たりされ2メートル程背中で地面を滑走した。

 ピクリとも動かないクロさんに青色の子供が泣きべそかきながら声を掛ける。


「えっとねあのね、違うの!」

 緑色の子供がクロさんの上にジャンピング正座で乗っかる。

「ぐぇっ!」

「迷子になっちゃった!」

 そう言って天真爛漫な笑顔を見せる。子供ってのは純粋過ぎて恐ろしい。

「ま、試食のウィンナー食べてたんだけどね!」

 赤色の子供が少し大きめの石を蹴りながら元気よく白状した。そしてその石はクロさんのちょうど股の間に命中した。


「うっ!」


 不憫な。

「ちょっとお前! それ言うなよ!」

 泣きそうな声で青色が喋る。

「毎回違う子供に化けてたんだけど、流石にバレちゃったよね」

 緑色がクロさんの上で弾んでいる。

「あのババア、何気にいいげんこつ食らわせてくるよな」


 赤色は頭をさすりながら答えた。喋る順番でも決まってんの? さすがは3つ子。連携が取れている。

 クロさんが急に立ち上がったもんだから緑色は地面に落ちてゴロゴロと転がった。


「くぉおらボウズ共。その辺ふらふらしてっと! 鍋にして食われっちまうぞ!」

 大人気なく全力で子供たちを追いかけ回し始めた。

「「「ごめんなさぁ~い!」」」

 言葉では謝っているがどこか楽しそうに、しかもクロさんの攻撃をギリギリで躱している。


 クロさんが激しく肩で息を吸い、膝に手をついた。ま、あれが良い歳したおっさんの限界だろう。散り散りになった子供たちは金城の後ろと、ロノさんの後ろに身を隠し落ち着いた。


「「「もう怒んない?」」」

「ちらっ」

 緑色が金城の後ろからクロさんを覗いてみせた。チラッて擬音を声に出して許されるのは今だけだぞ。


「ったくぅ! しょうがねぇ奴らだ!」

 クロさんは両手を広げ笑顔で3人を許した。すると危険が去るや否やロノさんや金城にベタベタと甘え始めた。

 誰かあの胸に飛び込んでやれよ。可哀想で見てらんないよ。


「良かったですね見つかって」

 田中は無線を切りながらクロさんに話しかけた。いや、そんなすぐに警察の力使うんじゃないよ。

「おう! 迷惑かけたなお前らと、あとお姉ちゃんも」

 男と女で対応が違い過ぎない?


「無事でよかったね」

 金城が3人に笑顔を見せると子供たちは一気に目を輝かせた。


「「「わぁあ! お姉ちゃん大好き~!」」」


 金城に群がる3人。太ももとか手とか各々金城にすりすりしている。これが子供の特権ってやつか。職権乱用だぞ。

 ん? 皆お尻にフサフサの尻尾が付いてる。あと頭に丸い小さなフサフサの耳がいつの間にか付いてる。

 昔女子高生の間で流行ったよな。ケータイにでっかいフサフサの尻尾とかつけるの。それか?


「ったく。お前ら誰に似たんだか」

「じぃだよ?」

 赤色が答えた。

「うるせぇ! 行くぞ!」

 どうやら赤色は余計な一言を言いがちらしい。

「じゃあな紀彦! アデュー!」

「お先に失礼致します」


 そう言ってロノさんは深くお辞儀を……はあぁ! ありがとうございまぁす!!


「「「アデュー!」」」

 3人は尻尾をふりふりさせながら2人に着いていった。怒涛の様な時間が過ぎ、バス停は静けさを取り戻した。蝉の声が再び響いてくる。



「ま、そうゆう事だ」

 帽子を被り直しながら田中は言った。

「いや、どうゆう事だよ」

「変な奴も居るから気を付けて帰るんだよ。じゃあな」

 たった今変な人と遭遇したけどな。


 自転車に跨ると田中のケータイが鳴った。

「はいもしもし田中です。はい、はい。あーっ! 分かる分かる! あるあるだよね。うん、全然余裕。おう! またねー」

 田中は嬉しそうに電話を切った。あいつ俺ら以外に友達なんて居たか?

「誰だよ」

「間違い電話だった」

「じゃあ「またね」はおかしいだろ」

「じゃあな! 今度買い食いしたら逮捕するからな!」


 そう言うと立漕ぎして颯爽と去っていた。職権乱用でお前が逮捕されろ。


「じゃあね~」

 金城が見えなくなるまで手を振っている。

 見えなくなるまでって。こんな田んぼの広がった場所でずっと振り続けるつもりかよ。田中も何度も振り返って手を振っている。

 それに飽きたのか金城はくるっと振り返って「じゃあ今日はどうする?」とまだ遊び足りない様子だ。

 金城の肩越しにこっちを振り返り手を振る田中が見えていたけどスッと姿を消した。

 遠くから少し遅れて「ガシャン」って音が小さく聞こえた。あいつ多分田んぼに突っ込んだぞ。


 まあ、別にいいけど。



完結するまで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08で「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

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