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【第15話 お巡りさん、この人です】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


 チャラ……チャラ……。

 金属の揺れる音が段々近付いて来る。

袴を履き、朱色の着物の中には赤と黒のパーカー。その上には黒地に椿の刺繍の入った羽織を着ている。腰には、刀? 刀のふりした傘か?

真っ赤に染まった髪の毛が、この田舎の自然と全然調和していない。和洋折衷というか時代錯誤というか、何でこんな田舎にこんな格好した人が全速力でこっちに走って来るのはああぁぁぁぁ!


「うわぁぁあああ! 会いたかったよぉおおこんちくちょぉおおおお! 元気にしてたかぁ?」


その男は俺のすぐ横を通り過ぎ、バス停横の切り株にヘッドスライディングで飛び掛かり頬ずりをし始めた。

あ、これはダメな人だ。なあ田中。お前んとこの交番に貼りだされてないか? この顔にピンときたら連絡をって。

金城が俺の肩をトントンと叩き、指を指す方を見る。


「きみぃ」

「おわぁ!」


変な男はいつの間にか至近距離にいて俺にぬっと顔を近付けてきた。

「今「変な人来たな~。どうゆう恰好してんだこいつぅ」って思ったでしょ?」

「え、あ、いや」

「ビンゴー! 僕ねぇ、今君の頭の中を読んだ。っとかじゃなくて大概の人が僕に抱く感想でしたー!」


普通に怖い。未知の怖さが俺と馴れ馴れしく肩組んできてる。


「わーっしゃっしゃっしゃっしゃんんん!!? 君あれだねぇ? 町田徹って名前じゃないかい?」

「え、な……」

「え、何で知ってんの? マジ怖マジヤバマジバイブス~って思ったでしょ?」

「バイブスって何すか」

「おいちゃん恐い人だからねぇ……皆の事よぉおおく知ってるんだよぉおお」


 今度は頬っぺたをぐりぐりされる。俊介、金城。固まってないで早く助けて。もう俺はダメかもしれない。

 あと田中は何してんだ、警察官だろ役立たず。


「お師匠さん、そんな事言ったら可哀想ですよ。半分恐がってるじゃないですか」

 スラッとした美人が日傘をさしていた。黒と赤の着物を羽織り、手にはレースの黒い手袋。少し大胆にめくれた着物の前からチラリと覗く足には薔薇の網タイツ。零れ落ちそうなおっぱい! 滅茶苦茶な美人だった。

 お師匠さんと呼ばれた変人はその美人に尋ねる。


「じゃあもう半分は何だよ」


 風がそよぎ甘い香りがエロ美人から漂ってきた。CHANELの5番か。知らないけど。


「ドン引きです」

「わーっしゃっしゃっしゃっしゃ!」


 何故か満足そうに笑いだしたそいつに向かって、田中が勢いよく敬礼をした。


「クロさんお疲れ様です!」

「おお! 紀彦! お前でっかくなったなぁ!」

「やだなぁ! もう大人なんだから大きくなりませんよ!」

「夜の方は大きくしてんのかい?」

そう言ってクロさんと呼ばれた人は田中の股間に話しかけた。

「警視庁に上り詰める勢いであります!」

「よっ! 親指20代!」

「お師匠さん」


 美人にそれ以上の発言を止められ、2人でチャンチャンッと笑っている。


「紀彦兄ちゃん、この人と知り合いなの?」


 さすがの俊介もこの状況には押され気味なのか、恐る恐る田中に尋ねた。


「知り合いもなにも! この耶志眞町を地域振興しようと皆と頑張ってくださっているクロさんと、ロノさんだ!」

「いいんだよぉ、そんなに崇めなくてもぉ!」

 誰も崇めてないのにひとりで照れてる。やっぱただの変な人だよ。


「初めまして」

 品の良い巨乳の美人、ロノさんはこちらに丁寧に挨拶をしてくれた。皆ロノさんには口々に挨拶をする。クロって人はまだ照れてる。


「帰ってらしたんですね!」

「おぉ! そろそろこの土地のあの~あれだ。ほらあの味噌のカスみてぇなキュウリにつけて食う~……」

「もろみですか?」

「だーっ! そうそう! この土地で育ったキュウリともろみがうんめぇんだ!」

「それは良かった」

「あんないいもん、無くしちゃいけねぇよな」

「はぁい!」


 田中とクロって人は肩を組んで何やら感慨深く空を仰いでいる。そんな大袈裟な。いや、まあ確かにうまいけど。


「あぁっ! そうだ! そんな事よりボウズ3匹知らねぇか?」

「え!?」

「一緒に買い物に行ったんですけど、どこかへ行ってしまって」

 なんだ、ロノさんには子供がいるのか。これが人妻ってやつか。少し悲しいけど俺は分かって来たぞ、人妻の良さが!!


「気付いたら葉っぱになってやがった」

 クロさんは懐から大きな葉っぱを3枚取り出し盛大に笑った。子供が居なくなったっていうのに、随分と余裕そうだな。

「それは大変だぁ! すぐに公安と連携を取って……」

 待て待て、お前にそんな権限はないだろ。

「まあいいさ。その内ふらっと帰って……」


「「「じぃ~!」」」


 クロさんの言葉を遮って、元気な男の子たちの声が揃って聞こえた。




2025/06/08まで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08で「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

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