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【第14話 お馬鹿でドジな警察官、田中紀彦】

こんにちは。

御覧いただき、ありがとうございます。


舞台原作「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」


是非、お楽しみ下さい。


 ベストマートで俺たちはベストなアイスを買い、再びバス停に座っていた。

 バスが停車し誰も降りる事もなく、中から鈴木のおっちゃんが話しかけてきた。


「いつも2・3分早く着いちゃうんだよ。ちょっと一緒に暇潰そうぜ」

 金城がカフェオレアイスの半分をポキッと割って鈴木のおっちゃんに渡した。

「お、サンキュー」

「いいのかよ、勤務中にアイスなんて」

「いいんだよ、暑いから」


 暑けりゃなんでも許されるのかよ。

 信じられないかもしれないが、おっちゃんはカフェオレアイスの先端にちょっと入ってるアイスを最後にすすって飲む。

 だから食べてる途中は片手はティーカップをずっと持ってる人みたいになってる。キンキンに冷えたアイスを食べた後でぬるくなったカフェオレを飲んで締めにするのがいいらしい。

 ずずずっと音を立て小さなカフェオレを飲み干した。


「お前らも買い食いしてっと怒られんぞ。じゃあな」


 プシューッと扉が閉じると同時に、けたたましい笛の音が聞こえてきた。


 ピーッピーッピーッ!


 耳がつんざけるわ。

 白いチャリで爆走する警察官姿の男が近づいてきて、そして目の前でドリフト気味に止まった。

 いいのかよ。それ支給されてる自転車だろ。


「おいお前ら! 買い食いはダメだって小2の頃からずっと言ってんだ俺は!」

「紀彦兄ちゃん!」


 金城が嬉しそうに手を振ると、田中も嬉しそうに手を振り返す。


「勤務中にちゃん付けで呼ぶんじゃないよまったくぅ!」

「んだよ田中かよ」

「「んだよ田中かよ」じゃないんだよ徹! 警察官なんだから! ね! もっと畏れおののけ!」

「大体高校生にもなって買い食いダメとかどんな田舎だよ」


 確かに国道は片側一車線で夕方になると爆混みするし、コンビニは気分次第で早く閉まるし、道路はたまに耕運機が泥で足跡作っていくけどさ。


「こんな田舎だよ。じいちゃんばあちゃん、紀彦兄ちゃん!」

「紀彦兄ちゃん暇なの?」


 彩夏が仔犬のように飛び跳ねる。田中は俺たちと子供の頃からずっと一緒で、遊んでくれる近所の兄ちゃんだ。

 普通成長すると何となく疎遠になったりするもんだけど、俺たちは田中が社会人になった今でもたまに遊んだりする。車の免許を田中が取った時は遠くの海にドライブに行ったりした。調子に乗って遠くまで行ったもんだからガス欠になった。

 田舎のガソリンスタンドは軒並み18時に閉店してて軽くパニックになった記憶は新しい。


「暇じゃないよ! ビックリしたよ僕。もうね、真っ青」

「制服がね」

 俊介が冷静につっこむ。田中が嬉しそうにへらへらしている。やっぱりこいつは暇人だ。


「で、何しに来たんだよ」

「何しに来たって、町民の安全を守るパトロールだよ!!」

 無駄にデカい声が山にこだました。

「暇なんだね!」

 彩夏が嬉しそうに笑う。

「絶賛パトロール中だよ!」


 田中は意地になって声を荒げた。

 田中はよくパトロールに駆り出される。こいつは物覚えがそんなに良くなくて、まあ所謂馬鹿で書類整理のひとつも出来ないもんだからしょっちゅう外の仕事を任されている。

 まあそれはそれで本人とも合っているようで、またどっかで田んぼの手伝いでもしてきたのだろう。腕と足をまくり上げ、泥にまみれた脚に革靴を素足で履いている。

 靴下をハンドルに干すな。


「つかいつまでも近所の兄ちゃんが兄ちゃんぶるなよ」

「うるさいな。暇なんだよ」

「暇なんじゃん」

「え? じゃあ俺は何をパトロールすればいいの? 田んぼとか海辺で不審に横揺れしてる車か!? 俺は積極的に職質しに行くぞ!? こんばんは~! 元気ですか~!」

「で、本当は何しに来たの」


 俊介が少し呆れて笑っている。俊介の方がしっかりしているのは何故だ。田中が警察官になれたのが今でも信じられないよ。


「おぉそうだ! 最近変な事が増えてるから明るいうちに帰りなさい」

「変な事って?」

「ちょっと分かんない」

「んだよ役に立たねぇな」

 いよいよ何しに来たんだよ。

「いや本当に分かんないんだって。庭先にたぬきの置物があるだろ? あれ壊されたり、あと心霊的な現象が最近起こってるみたいだぞ~」


 手をだらんと前に出し「うらめしや~」をやってみせる田中だが、中学生の文化祭の方がまだマシなお化けをやるだろうよ。

「まあ夏だからね!」

 金城は心霊番組とかで恐がるような可愛い女の子じゃなかった。

 夏になったら虫が増えるのと同じく、霊が増えるのも金城にとっては至極当然で何ら変わりのない事なのだ。


 「そっか夏だからか」

 田中は納得の表情を見せた。

「いやお前アホだろ」

「なっ!? 徹! こんなにも歳の離れた、しかも警察官に向かってアホだなんて!」

「アホって言われる方も方だけどな」

「そっか」

 俊介の言うことに田中も納得の様子だ。

「そっか。じゃねぇよ」

「まあそんな感じだから」

「どんな感じだよ」


「皆も気を付けて帰るんだよ。最近変な人が多いんだから。田舎だってなめてると6年前みたいな大事件んんああぁぁあああしまったぁ!」

「どうしたの紀彦兄ちゃん?」

「6年前に大事件なんかあったか?」

「え? 大事件? 無かった気がするんだけどどう思う~?」

「いや俺に聞くなよ。知らんわ」

「とにかく! 変な人には気を付けなさい!」

「変な人?」


 怖い話をすると幽霊が集まってくるというが、変な人の話をすると、変な人が集まってくるのかもしれない。

 遠くから不審な音が近づいてくる。




完結するまで毎日18時に更新されますので

楽しみにお待ちいただければ幸いです。


2025/06/08までに「バック・トゥ・ザ・君の笑顔」は完結します。


全部で4部作ありますこのシリーズ。

恐らく全てがラノベ化されると思いますので

そちらも合わせてお楽しみいただければ嬉しく思います。


応援の程、よろしくお願い致します。

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