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9話 ギゼフの訪問 その2

 ギゼフ・ランバル侯爵視点……。



「カール殿……悪いことは言わないから、さっさとシェイナに会わせてくれないか? 私は貴殿に会いに来たのではないんだがな」


「どうぞお帰りください、ギゼフ様。娘は貴方には会いたくないでしょうから」


「そんなはずはないだろう? 私は元婚約者なのだぞ?」



 カール・アルバート伯爵……シェイナの父親に当たる人物でアルバート家の現当主をしている。応接室に招かれ、シェイナに会わせるように頼んでいたが、先ほどから断っているのだ。どういうつもりだ?



「シェイナの元を訪れた理由は絵画のことでございましょう?」


「あら、分かっているなら話が早いですわね。シェイナ嬢……いえ、サリシャスを呼んで来て頂戴」


「お断りします、ロドリー嬢」


「なっ……貴方に断る権利があると思って!?」



 隣に座っているロドリーも怒っているようだ。まあ、当然の話だな。伯爵家如きが私達を邪見にしているのだから。強制的にシェイナの私室まで行ってやっても良いのだが……あまり、不機嫌にさせるのも良くはないか。



「あなた方は何か勘違いされていませんか? 自分達の能力が絶大であるという」


「それはどういう意味かな? カール殿」


「私達は所詮、王家の配下でしかありません。貴族の間にも階級の序列こそありますが、元を辿れば王家の配下という立ち位置になります」



 この男は何が言いたいのだ……? 私との権力の差がないと言いたいのか?



「私と貴殿では権力差は明らかだと思うが? 同等だとでも言いたいのか?」


「そうは言っておりません。こうして敬語で話しているのですから、権力の差はあると思っています。通常状態ではね」


「通常状態……?」


「一方的な婚約破棄を起こした貴族は、こうした権力から除外されても文句は言えないでしょう。ですので、あなた方の要求に従う義理はありません。どうぞお帰りくださいませ」


「貴様……」



 カール殿はハッキリと言った。今は通常状態ではないので私の頼みを聞かないと。仕方がない……私に逆らったら、どういう目に遭うのか思い知らせてやるしかないな。



「お父様、失礼致します……」


「ん? シェイナか?」



 そんな時だった……応接室に聞き覚えのある声が聞こえて来たのは。その直後に扉が開かれシェイナが入って来る。



「そちらから来てくれるとは思わなかったよ。久しぶりだな、シェイナ」


「……」



 シェイナは無言のままだった。余程、私に会いたくなかったようだな。本当にこの女があのサリシャスなのか? 信じられないが……さて、どうやって仕事を引き受けさせようか。


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