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8話 ギゼフの訪問 その1

「ふむ……こうして見ると、本当に素晴らしい絵画だな。私の為に描いてくれて、感謝しか出来ないよ」


「いえ……とんでもないことでございます……」



 私はキース様と私室で話をしていた。キース様に褒められると照れてしまうわ……私の身分では王子殿下に褒められるなんて、ほとんどないことなのだし。


 最近、キース様はアルバート伯爵家の屋敷を訪れることが増えていると思う。嬉しいことだけれど、それに合わせて緊張感も強まってしまうわね……。



「キース様が私の部屋を訪れていらっしゃる時点で、とても嬉しいことでございます。それに合わせてお褒めの言葉を戴けるなんて……身に余る光栄でございます」


「そんなに畏まらなくても大丈夫だよ、シェイナ嬢。私は君の絵画を購入する立場なんだから……むしろ、私の方が地位としては下と言えるだろう」


「いえ……そんなことは……」



 第二王子殿下が下だなんて、そんなことはあり得ない。いくら私がサリシャスとして絵の作成をしているからと言っても……王子殿下の方が地位が上なのは明白だ。


「ははは、シェイナ嬢のその謙虚な態度は本当に羨ましいよ。本来なら、もっと高慢になっても不思議ではないのだがな……それだけ売れているのだから」


「高慢だなんて……キース様の前でそんなことは出来ません」



 他の人の前でなら、ある程度は自信を見せていたかもしれないけれど、キース第二王子殿下に対して偉そうに振る舞えるわけがない。ギゼフ様が相手ならば、多少は偉そうにしても問題ないかもしれないけれど……。


「そういえば、ギゼフ殿への絵画の依頼は断ったらしいな?」


「そうですね、断りました。あの方の為に絵画の制作をしたくなかったので……」


「ふむ、賢明な判断かもしれないな」


 今の私の気持ちを考えれば、婚約破棄をされた相手に絵を作るなんて考えられなかった。ギゼフ様からの制作依頼は全て断って良かったわね。キース様が肯定的なのも私の判断が間違っていなかったことに拍車を掛けているだろう。


「あの……失礼いたします、シェイナ様……」


「ライズ? どうかしたの……?」



 そんな時、曇った表情のライズが私の部屋を訪れた。彼女の表情と言葉から、嫌な予感を感じさせる。


「どうしたの、ライズ?」


「はい……実は、ギゼフ・ランバル侯爵とロドリー・シンクレア侯爵令嬢がいらっしゃっています」


「えっ……?」


「現在、旦那様が対応されていますが……シェイナ様、如何いたしましょうか?」


 ギゼフ様とロドリー様が訪れている? 今さらどういった用件なのかしら……嫌な予感が的中して、私は不穏な気分が拭えなかった。


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