23話 パーティーへ その2
「ギゼフ殿、本日はこのような素晴らしいパーティーにお招きいただき、本当に感謝いたしますよ」
「あ、はははこれはウォール侯爵……喜んでいただき光栄です」
私とキース様、ライズはパーティー会場に入り、ギゼフ様の存在を確認していた。他国の貴族の方々と挨拶をしているようだ。ギゼフ様の周囲に立っている兵士は護衛だと思われているのでしょうね。本当はギゼフ様を監視しているのだけれど。
「ギゼフ殿の罪については、流石に周辺国家にまでは噂が流れていないようだな。安心というかなんと言うか」
「そうですね……噂が流れていれば、本日、来ない人もいたかもしれませんしね」
「そういうことだ。本日は画家サリシャスの新たな顧客を見つける目的もあるわけだしな」
「ふふ、そうですね。見つかれば良いですが……」
他国の貴族にはサリシャスの名前は通っていても、伯爵令嬢のシェイナの名はほとんど無名に近いはず。上手く契約に繋げられれば良いのだけれど。
「まあ、私もいるし、ギゼフ殿を通したルートはもう使えないわけだしな。サリシャス本人との直接ルートの方が確実だし、安く買うことも出来る。相手側にとっても嬉しいことだろう」
「わかりました、直接交渉が成功するように頑張ってみます!」
「ああ、その意気だよ」
私はキース様に励まされやる気になっていた。彼と一緒にいれば成功しそうに思えるのが不思議だわ。それだけ信頼できると言うかなんというか……。
---------------------------
ギゼフ侯爵視点……。
ど、どうしたら良いのだ……私は監視体制の下、パーティーの出席を許されている。周囲には先ほど話していたウォール侯爵など、他国の重鎮が揃っている。私はこの場で絵画が手に入らないことを言わなければならないのだ。無理な手段で集めていたことまでは言わなくて良いとのことだが……。
流石はキース王子殿下といったところか。王国全体の利益が損なわれる行為はするな、と言っているのだろう。
「む、むう……あれは、キース王子殿下? それにシェイナまで……」
「ええ、その通りですよ、ギゼフ・ランバル侯爵。まあ、あなたには関係のないことです。是非、他国の方々との親交に集中してください」
「なっ……!?」
いつの間にか私の近くにいた人物……この女は確か、シェイナのメイドだったはず。この得体のしれない威圧感はなんなのだ? 私の感情を全て読んでいる雰囲気だった。くそ……私の道筋はもう決まってしまったのか?