21話 パーティ出席?
それからしばらくして、ギゼフ様の屋敷に多くの兵士達が現れた。キース様に命令され、ギゼフ様の屋敷内の捜索に当たってくれている。私の絵画を探すのが目的だ。
「シェイナ嬢、なんとか絵画の回収に成功しそうだな」
「左様でございますね、キース様。本当にありがとうございます」
「いや、礼には及ばないよ。私もサリシャスの絵のファンなんだ、不当な手段で集めている輩を放置しておきたくはない。不当な手段で集めた絵を売買するとなると、さらに許せないからな」
「ありがとうございます、キース様」
キース様の言葉はとても嬉しかった。単純に私の絵を褒めてくれているのも嬉しいし、キース様には感謝しか出来ないわ。ライズが私達を見て怪しい笑みを浮かべているのが気になったけれど。
「シェイナ様、今がチャンスではありませんか?」
「あのね……ライズ。止めてよね……」
「……?」
キース様は首を傾げていたけれど、私にはライズの言っている意味が伝わっていた。以前に彼女が言っていた、キース様に甘えるという行為をこの場で試せ、ということなんだと思う。
こんなにギャラリーが居る中で出来るわけないでしょ……ライズはその辺りは絶対に分かっているはずだけれど。
「ライズ……楽しんでいるでしょう?」
「もちろんでございます、シェイナ様。私も僭越ながら、サリシャスの絵画が戻って来ることに喜びを感じていますので……」
「怪しい……」
「まあ……それは心外でございますわ」
とてもメイドの言葉とは思えない。私を完全にからかっているし。やっぱり、キース様でも知らない密偵稼業でも行っているのかな? このメンタルの強さは尋常じゃない気がするし。
私達はホールで待機しているけれど、そこには崩れ落ちるギゼフ様の姿もあった。彼は現在のところ、拘束はされていない。いつでも拘束できるように周囲には兵士が待機しているけれど。
「終わった……今度のパーティの際になんて言えば良いのだ……ああ……」
ギゼフ様はブツブツと何かを話しているようだった。パーティがどうとか聞こえたけれど、どういう意味かしら?
「キース様、ギゼフ様の言っているパーティというのは……」
「おそらくは他国の懇意にしていた貴族達を呼んでいるパーティのことだろう。サリシャスの絵を売る予定の客でもあるわけだ」
「ああ、なるほど……」
「まあ、それは楽しみでございますね」
「楽しみ……?」
ライズがまたおかしなことを言っている。いつも通りの怪しい笑みを浮かべながら。
「シェイナ様もキース王子殿下も、そのパーティにご出席されては如何でしょうか? それはもう、楽しい光景を見られるかと思いますが」
「ライズ、あなたって……」
ライズは余程、ギゼフ様のことを嫌っているようだ。こんなことを平気で思いつくのだから。でも確かに作者側としては出席しても良いような気がするわ。私の絵を欲しがっている貴族の方々と新しい関係を築けるかもしれないしね。