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15話 調査 その2

 キース様がギゼフ様の件を調査すると約束してくれてから、3週間程が経過した。私はその間も作業場に籠って絵画の完成に勤しんでいる。調査結果については気になるところだったけれど、やはりそれなりの時間が掛かるようで今のところ、キース様からの回答はない。


 そういえばあれからキース様も屋敷に訪れなくなった。忙しいのかもしれないわね。


「失礼ながら申し上げます、シェイナ様」


「ライズ? どうかしたの」



 依頼されていた絵画の1つが完成し、少しの間休憩中している。その時に、いきなりメイドのライズが話し掛けて来た。私は振り返って彼女に視線を合わせた。


「キース王子殿下が来られなくなり、3週間が経過しましたね」


「そういえばそのくらいになるわね」


「ふふふ」


「な、なによ……?」



 ライズは怪しい笑みを浮かべていた。私と同じ歳なはずなのに、妙に色っぽいというか……この辺りはメイドとしての経験が活きているのだろうか。



「寂しいのではありませんか?」


「そ、それは別に……まあ、そういうこともあるかもしれないけれど」



 確かにキース様が来られなくなってから少し、寂しさを感じるようにはなった気がするけれど。ライズはどうやら私の様子からそれを感じ取っていたようだ。流石ね……。



「キース様は調査を約束してくれたのだし、その件で忙しいのだと思うわ」


「うふふ、私もそうだと思います。ですが、今度お会いする時は寂しさを前面に出されても良いのではありませんか?」


「えっ……それって……」



 私がキース様のことを気にしているっていうこともバレているということ? だからライズは怪しい笑みを浮かべているのか。確かに私はキース様が来てくれるようになってから、あの方のことを気にするようにはなっていた。


 王子殿下としては以前から気になる存在ではあったけれど、それとは別の意味で……。



「キース様に迷惑にならないかしら?」


「大丈夫だと思いますよ。キース王子殿下もおそらく、シェイナ様のことを気にしているでしょうし」


「そ、そうかしら?」


「はい。そうでなければ、絵画の依頼と関係のない日まで訪れることはないと思います。忙しい日程の合間を縫って会いに来ているという情報もあるくらいですから」



 その情報はどこから洩れたのかしら……ライズの交友関係が少し怖くなってしまった。王子殿下の予定を把握できているなんて並大抵のことではないはず。



「キース王子殿下は本日お越しになるようですから、少し甘えてみるのも良いかもしれませんね」


「ライズ……あなたって……」


「ふふふ」


 確信犯だ、このメイドは。本日の予定まで分かっていたということか。だから私にキース王子殿下の話題を振ったのね。まあ、お父様達に行っていた情報を事前に仕入れただけの可能性もあるけれど。


 とにかくライズと言う人物が怖くなる一幕だった。それにしても……今日、キース様が来られるの? 内容としては調査結果のことだろうけれど、3週間振りの再会は嬉しくなるわね。


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