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13話 悪あがき その2

「ふう、なんとか帰ってくれたようだな」


「そうですね、お父様……」



 私達はギゼフ様とロドリー様を帰してホッと一息を吐いていた。ようやく安心できる状況になったからだ。



「強制的に屋敷を物色なんてことにならなくて、本当に良かったです」


「まあ、それは確かにな。ただ、ギゼフ様が諦めたとは思えないが」



 お父様の言葉に私は頷いた。確かにあの人がそう簡単に諦めるとは思えない。彼の屋敷には私の絵が何枚も設置されているし、話を聞く限り絵画の販売で相当に稼ぐことを計画しているようだし。


「お疲れ様、二人とも……私の出る幕はなかったが、大変だったな」


「キース様! すみませんでした、お気を使わせてしまって……」


「いや、私の方こそ直接、ギゼフ殿達を叱責するべきだったかもしれない。その前に引き下がったので、様子見を続けたわけだが」



 どうやらキース様は応接室での様子を外から伺っていたみたいね。彼の護衛の人達が紛れて様子を見ていたようだし。キース様に登場して貰わなかったのは、結果的には良かったかもしれない。あんまり迷惑を掛けたくないしね。


「しかしあの二人……正確にはギゼフ殿の方だが、このまま大人しく引き下がることはしないだろうな」


「そうですね、私もそう思っています」



 あのギゼフ様のことだから、まだまだ絡んで来そうだ。どんなことを考えているんだろうか……願わくば、何事もなく過ぎ去って欲しいけれど。絵画の完成にも影響してきそうだしね。



----------------------



 それから少し時間が経った。私はその間も絵画の作成が忙しかったけれど、キース様に依頼された絵は無事に完成していた。複数あったのだけれど、同時進行で優先的に進めていたので全て納品することが出来た。それに見合う報酬も受け取ったので、達成感を得ることが出来ている。


 今は別の貴族の方から依頼されている絵を描いているのだけれど、ギゼフ様の依頼分がなくなったから予定を前倒し出来ているわね。


「私がこの場に居るのは邪魔ではないか……大丈夫だろうか、シェイナ嬢?」


「あ、大丈夫ですよ……はい」



 キース王子殿下はさらに頻繁に訪れてくれるようになっていた。私としてはキース様との仲が深まっている感じがして嬉しいけれど、キース様は申し訳ないように感じているようだ。


「キース様が訪れていただけるのは嬉しいです」


「そうか……それならば良いのだが」


「ですが、そこまでお越しいただけるのはどうしてでしょうか?」


「ん? まあ、それは色々あってだな……うん」


「……?」



 気のせいだろうか……? キース様の頬が赤くなっているように感じたけれど。


「そ、そう言えばギゼフ殿の件だが……」


「は、はい……?」



 ややキース様は急に話題を変えた気がするけれど、気にしない方が良いのかしら?


「ギゼフ様がどうかしましたか?」


「うむ……噂ではサリシャスの絵を貴族達から引き取っているらしいのだ」


「ええっ?」



 それって、私が他の貴族の方に売っていた分を手元に引き寄せているということ? まさか、そんな手段を使ってくるなんて……予想外だったわ。


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