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1、プロローグ

初投稿です。

感想、評価もらえたら嬉しいです。

そこは祭壇のような場所であった。

広く開けた場所には、無数に作られた松明が、部屋の隅に置かれており、点けられた火が、辺りを照らしパチパチと音をたててはじけている。


そして、少し広場の中心から離れた場所では、十時に組まれた木の棒にはりつけにされた人間が、ぴくりとも動かず、うなだれいる。


人間の下には多量の血痕がこびりついており、その血は乾き、独特な血の香りが充満している。


そんな混沌とした場所。


そこでは、今一人の少年が戦っていた。

少年の名はソウという。


ソウの周りには剣や槍、棍棒を持った緑色の皮膚を持つ鬼のような怪物、オーガが、なりふり構わずソウに襲いかかっている。

そして、その更に奥の階段を登った先には、何やら仰々しい椅子に座った、一際大きい、赤色のオーガが、射殺さんばかりの眼でソウを見つめていた。


「にんゲんごどぎが。ワジにはむかってただでば殺ざぬぞ」


赤いオーガは立ち上がると、咆哮と共にそう叫んだ。

ソウと出会った当初は、王のような威厳と余裕を持っていた赤いオーガも今は怒りで、身体を震わせている。


無理もないだろう。

ソウの周りには赤いオーガの配下が、数を数えるのも億劫になるほど、血を流して倒れているのだから。


どうしてこうなった?

なぜだ?

何がおこっている?

私の配下たちは誰よりも強いはずだ。

なのに何故、脆弱なにんゲン如きに押されているのか。


赤いオーガには理解ができなかった。

事実、今まで自分の元にやってきたものは一人残らず、殺した。多少強いものはいたが、それでも、等しく弱者だった。


そう弱者のはずなのだ。

目の前の生き物は……。


なのに今は自らの同胞が手も足も出ず、殺されている。


数にものいわせ、配下のオーガ達は少年を取り囲むが、ソウは何故か囲みの外で、背後から、オーガの心臓を突き刺す。

離れた場所にいる自分にすら眼に追えない。

気付いたらソウは別の場所にいるのだ。


赤いオーガは焦っていた。

沢山いた配下も今では数を大きく減らしている。


すると、不意にソウがこちらを見た。


すると――


「ガッ?」


ソウが眼の前にいた。

呼吸音すら聞こえてきそうな距離。

そして、一瞬、赤いオーガは痛みを感じ、次の瞬間には崩れ落ちていた。


赤いオーガを倒した後も少年は止まらなかった。

舞うように、斬り、移動し、斬り、移動し、オーガたちは数の利を活かせず、なすすべもなく倒れていく。

オーガ達にはソウが捉えられなかった。

気づけば、自分の近くにおり、気付けば斬られている。

それの繰り返しだ。

オーガ達は自分達の王を失ったこともあり、冷静さを失っている。そこへソウが、間を縫うように突然現れるものだから、気付けば仲間であるはずのオーガを誤って傷つけてしまう。


そうなるともう止まらない。

戦場は混乱を呼び


遂にオーガ達はその数をゼロにまで減らした。

ソウは最後のオーガが倒れたことを確認すると、血塗りを落とし、腰にさした。


そして、少年は息を少し吐き出すと、やっと終わった、と小さく呟いた。



――



ここはダンジョンと呼ばれ、世界とは切り離された場所。約100年前、突如としてあらわれた。中には凶悪なモンスターが蔓延り、そしてその更に奥にはボス級と呼ばれるモンスターが待ち構えている。


危険で、命が何個あっても足りない。それがダンジョンだ。


だが、このダンジョンに挑戦する者は後をたたない。ダンジョンを攻略する者のことを冒険者というが、今やその人気は、なりたい職業ランキング一位。連日テレビや動画投稿サイトで、取り上げられ、大人気だ。ダンジョンには、夢がある。高ランク冒険者になれば、お金に困ることは無いし、メディアからは称賛され、名誉を得られる。


成功すれば、富も名誉も全てを得られるのがダンジョン。だが、失敗すれば、待っているのは死だ。


現にソウが今戦っているダンジョンでは20人を超える人が死んだのだ。


今まで、ソウは沢山のダンジョンに潜り、また沢山の死を看取ってきた。

だが、今回のは特に酷かった。

ダンジョン内のモンスターが知性を持っており、人間を嬲って遊んでいた。

どういった風に遊ばれたのかまではソウには分からなかったが、死んだ後にこういった扱いを受けていたことから察することができた。


ダンジョンは危険だ。


(でも、ダンジョンは攻略しなければならない。攻略しなければ、もっと酷い惨禍がおこるから……)


ダンジョンは攻略せねばばらない。

それはこの世界の総意だ。

ダンジョンからは、今の人間の生活に欠かせない魔力石といったエネルギーの結晶体が収集できる。

それにダンジョンを放置すると中からモンスターが這い出てくる。その現象をダンジョンブレイクと呼び、その現象で何ヵ国か滅んだ歴史があるため、国もダンジョンを放置することはできないのだ。


ソウは十時に組まれた木に貼り付けにされた人間を見てつぶやいた。


「もう少し我慢してくれ。もう少しで、家族のもとに帰れるから……」


それからソウは今、来た道を振り返り、走り出した。


ダンジョンはボスを失うと約一週間で消滅する。

ソウが現実世界に戻るのには充分な時間だが、この後、素材の採取チームが派遣され、モンスターの中にあるエネルギーの結晶。魔力石を収集する。それ以外にもモンスターの死体の中で、武器や防具など、使い道がある部位は、剥ぎ取り、持ち帰らなければならない。そして最期に亡くなった人間を運び出す。無論。姿、形が残っていればの話だ。全ての人間がダンジョンから出られる訳ではない。



つまり、何がいいたいかというと、それほど時間があるわけではないのだ。



ソウは五層構造のダンジョンの入り口に辿り着くと、ゲートと呼ばれる宙に浮かぶ亀裂の中に躊躇なく、飛び込んだ。飛び込むと同時、視界が暗転し僅かな浮遊感を感じるが、瞬く間に元いた世界の、住宅街から少し離れた森の中の景色が飛び込んできた。


ソウは転移が無事おこなわれたことを確認すると、その場に少しの時間立ち尽くした。


普通の依頼なら、このまま冒険者協会に報告に行くことになるが、今回の依頼の場合、冒険者協会の職員がゲートの近くに待機しているから、その者に報告をして欲しいと依頼主にいわれたためだ。


すると間もなくして、一人の男が、足音とともにこちらへ近づいてくる。


「ご無沙汰しています。冒険者協会のタンと申します。早速ですが、ソウ様が帰ってこられたということはボス級のモンスターは無事討伐されたということで、よろしいでしょうか」


近づいてきた男は、軽く目礼すると、ソウにそう尋ねた。


「はい、無事に討伐しました。ボスの種族名はレッドオーガ。五階層のダンジョンです。」


レッドオーガと聞くと、タンの目は驚愕で、僅かに見開いた。

だが、タンは目の前の少年の実力を思い出すと、すぐにいつものポーカーフェイスに戻った。


「左様でございますか。ご無事で何よりです。後のことは我々冒険者協会にお任せ下さい。もうお分かりになっているかとも思いますが、今からこのダンジョンを我々の方で調べまして、魔力石や素材など、それらの査定額から人件費を差し引いた額がソウ様の報酬となります。もし、欲しい素材などありましたら遠慮なくお申し付け下さい。後、冒険者協会の支部長から伝言がございます「討伐が終わったら、大事な話があるから顔を出しなさい」とのことです。」

「はい、何から何までありがとうございます。」

「いえ、気にしないで下さい。ダンジョンを迅速に攻略して頂く代わりに、採取などは代わりに私達、冒険者協会が行うという契約ですので。ではまた。」


タンは早口でソウに説明すると、携帯で誰かと話しながら、早足にその場を去って行く。

おそらく、携帯で人員の手配や段取りなどを相談しているんだろうとソウは思った。


(でも、支部長からの大事な話って何だ?……)


ソウはタンが言った冒険者協会の支部長からの話というものにあてがなく、少し考えていた。

この都市の冒険者協会の支部長は元高ランク冒険者で、温和な人物だ。

ソウとも幼少期から懇意にしており、親しい間柄だ。


とはいえ、ここ一年程は会っていなかった。

理由は、ソウの年齢が上がってくるにつれ、この都市周辺にある小さなダンジョンでは訓練にならないとソウの師匠が判断したためだ。


だから、ここ一年ソウは師匠と共にさまざまな国のダンジョンに挑戦し、戦闘技術を学び、沢山の魔物を倒したりと色んな経験を積んできた。


そんな状況が変わったのが、一週間前だ。

一週間前、あるダンジョンにこもっていた時、ソウの師匠の携帯に一通の電話がかかってきた。

その電話の相手が、かつて拠点にしており、懇意にしていたこの都市の支部長で、Aランクのダンジョンの発生と攻略の依頼だった。小さな国の小さな都市だから、高ランクの冒険者も数が少なく、ダンジョンブレイクの兆候があり、かなり危険な状態であった為、親交のあったソウの師匠に依頼したいのだという。


その依頼を師匠は受けた。


本来なら冒険者が行うはずの、剥ぎ取りや調査などは全て冒険者協会が受け持つという条件付きで。本来ならあり得ない条件ではあるが、ソウの師匠が世界でもトップクラスの高ランク冒険者であることや冒険者協会も別件で、調べたいことがあった為、認められた。


だが、うけた後で「用事ができた。代わりにお前が行け」とソウに依頼をなげたのだ。


あり得ないことである。


そしてソウは今、依頼を達成した。


(まあ、行けばわかるか)


この都市に来るのも久しぶりであった為、もともと会うつもりではあったのだ。


ソウはそう思考を結論づけると、早足で冒険者協会の支部へと向かった。





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