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全てを義妹に奪われた令嬢は、精霊王の力を借りて復讐する  作者: 花宵
番外編(アズリエル視点)

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8、ローザンヌ帝国での日々

それからの日々は、とても目まぐるしく過ぎていった。


父上にフィオラニア姫との結婚の許可をもらい、正式にオリバーを王太子に任命してもらった。これまでの仕事をオリバーに教えながら引き継いで半年。王太子交代の突然の発表に、世間の風当たりは冷たいかと思っていたが、驚いた事に真逆だった。


それは私の婚約した相手が、精霊王を呼び出せるローザンヌ帝国の聖女フィオラニア姫である事が大きかったのだろう。聖女の存在を公に発表にしたローザンヌ帝国はさらなる力を持ち、他の国を圧倒している。そんな隣国とより親睦な関係を結べる事は、ルクセンブルク王国にとっても恩恵が大きかった。


それに加えて、私が今まで一度も婚約者を作らなかったのは、フィオラニア姫への一途な想い故だったのだと応援してくれる者も多く、ありがたいことに祝福する声が多く上がっていた。


そんな中、結婚式の準備を進めるために、私はローザンヌ帝国に滞在している。


「可愛い孫娘の結婚式じゃ、豪華で盛大に盛り上げるのじゃ!」


という皇帝の意向で、王都では結婚式後に開かれる祝祭に向けて、大がかりな準備が進められていた。


お祝いムードに包まれながらも、城内は各準備で慌ただしく、何か力になれる事があればと、困っている者達を助けているうちに、顔見知りも出来て充実した日々を過ごしている。


皇帝からは、結婚後は聖女補佐官として公私共にフィオの支えとなって欲しいとお願いされ、快諾した。


空いた時間には書庫にこもり、ローザンヌ帝国のことを学び、少しでもフィオラニア姫の隣に相応しい人物であれるよう努力した。


「エル、少し頑張りすぎではありませんか? よかったらお茶にしましょう? 今日はエルにピッタリのものをご用意してきたんですよ」


私が読んでいる本を見つめながら、フィオが心配そうに声をかけてきた。こちらに滞在するようになって、フィオはよく私の事を気にかけくれる。


「それはとても楽しみです! いつもありがとうございます」


「少しリラックスしてもらおうと思って、今日はカモミールミルクティーにしてみました」


フィオはお茶を嗜むようで、色々なお茶を淹れてくれる。どれも美味しくて、フィオと過ごすこのティータイムは、私にとって至福の一時だった。


「まろやかでコクがあって、とても美味しいです。フィオ、ありがとうございます」


「喜んでもらえたようでよかったです。それにしてもエル、帝国記をもう十巻まで読んだのですね。私はまだ五巻までしか読めていませんよ」


「とても興味深かったので、気がついたらここまで読み進めていました」


「本当にエルは勉強熱心ですね」


「自信をもってフィオの隣に居たいので、そのための努力なら惜しみませんよ」


「時々思うのですが、エルは私を過大評価しすぎていませんか? 歴史や地理にしたって、エルの方がすでに詳しいではありませんか」


「そんな事はありませんよ。フィオはとても尊敬できる方です。だから私はフィオの補佐官としての職務を全うできるように、今のうちにあらゆる事を学んでおきたいのですよ。その、貴方に少しでも頼りにして頂けるように……」


「エルに尊敬してもらえるほど、私は心の綺麗で正しい人間ではありません。傍に居ると、貴方を汚してしまいそうで怖くなる……ただの汚れた臆病者なんですよ」


悲しそうに微笑むフィオの姿が、そこにはあった。時折彼女は、こうして悲しそうに笑う。その儚げな表情に、いつも胸がきゅっと締め付けられたように苦しくなる。


「フィオ……?」


「すみません、長居しすぎてしまいましたね」


立ち上がったフィオが、そのまま手の届かないどこか遠くへ行ってしまいそうに見えて、思わず手を掴んでいた。


「なにか、悩み事ですか? 私では力不足かもしれませんが、貴方の力になりたいんです! その、もしよかったら私に話してみませんか?」


「エル……そうですね。いつかは貴方にも、きちんと話しておきたいと思っていました。よかったら、聞いてもらえますか?」


「はい、勿論です!」


それからフィオは、自身に起こった過去の話をしてくれた。過酷な運命の中ですべてを失い処刑された時に、ユグドラシル様が助けてくれたこと。大切な家族を守るために、復讐を誓って二度目の人生を歩んでいたこと。そんなフィオの歩んできた過酷な道は、私の想像を絶するものだった。

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