98
マンマの指先が、レラを向く。
しかし、何も発射されない。
そして、驚くべきは。
「な、何故なの!?」
マンマが悲鳴をあげだ。
「バイパー」の幹部「死なぬ女」マンマ・ハッハが恐怖によって、普通の女のように泣き叫んだのだ。
マンマの顔の傷は再生しなかった。
そのままだった。
レラの銃口がマンマに向く。
「ある惑星が開発した究極のサイボーグ兵士プロジェクトのひとつが、お前だ」
レラが言った。
「多額の開発費によって計画は頓挫。プロジェクトチームは解散した。お前は、どうやってかは知らないが研究者たちの元から離れ、『バイパー』の幹部マンマ・ハッハとして生まれ変わった」
マンマはフラフラしながら、レラの話を聞いていた。
この感覚…身体が壊れ、直らない、この感覚…昔…研究所で、あのクソったれの博士どもが私の身体を何度、傷つけてもすぐに直っていたのに…一度だけ、私の身体が全然、直らないことがあった!
あれ以来だわ、この反吐が出そうな気分!
あのとき、何と言ってたっけ、あの猿どもめが!!
「お前の再生システムは体内のナノマシンが『ある材料』を使って、ほぼ無限に、かつ高速で損傷箇所を完全に復元する」
レラが続けた。
「その材料は眼には見えないが、そこら中にある。だから、お前はダメージを気にせず安心して戦えた」
レラがマンマに向かって一歩、踏み出した。
「この部屋は宇宙空間における、いろいろな装備を研究、実験していた場所だ」
「………」
「そのために、極めて多種多様な環境を設定することが出来る」
「………」
「あたしは、この部屋にお前を誘い込み」




