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レラは驚愕した。
その隙をマンマは見逃さなかった。
マンマが両拳を同時に突き出す。
諸手突きがレラの腹を打った。
身体が、くの字に曲がり、崩折れるレラにマンマの左脚がスカートをめくり上げつつ飛んだ。
マンマの左脚のヒザ裏が、レラの首を挟み込み倒した。
レラがスカートの中に押さえ込まれる。
「アラアラ、気を抜いてはダメよ、レラ」
マンマが小指を立てた左手を口元に当て、上品に笑う。
マンマのスカートがチロチロと燃え始めた。
ひどくゆっくりと炎は燃え、なかなか広がっていかない。
中途半端に燃えるドレスをマンマ自らが破り捨てた。
女神のような完璧な肢体。
美しすぎるプロポーション。
その、張りのある左脚がレラの顔を挟み、離さない。
レラは全身を高熱化させていた。
ドレスが燃えたのは、それが原因だったが何故、燃えかたが遅かったのか?
ついにレラにトドメを刺そうというところで、小さな疑問がマンマの頭をよぎった。
マンマは、それを無視した。
今は、かつての娘に2度目の死を与えるのが先だ。
レラの高熱化が止んだ。
ガラスのメガネがレラの顔から現れ、床に落ちる。
体内に隠していたハンドガンも同時に落ちた。
マンマが左脚を緩め、レラを離した。
レラが、うつ伏せに倒れる。




