94/109
94
マンマの背後で鋼鉄の扉が、ゆっくりと閉まり、ロックがかかる重低音が響いた。
「アラ? もう逃げるのは、終わり?」
マンマが笑った。
「ここは何なの?」
マンマの口調は、まるで親子の日常会話のようだ。
マンマの問いにレラは答えない。
この施設は元々、クレルラモン政府の肝いりで造られた研究施設だったが、大した成果を挙げられずに閉鎖。
塩漬け状態になっているものだった。
だだっ広いフロアの中央で2人は向かい合った。
距離は2m。
「レラ」
マンマが呼びかけた。
レラは銃を上げ、マンマの顔面に弾丸を撃ち込んだ。
もう、言葉は要らない。
復讐の業火に鉛弾の油を注げ。
敵を喰らえ。
喰らい尽くせ。
撃った。
撃った。
撃った。
「そう」
マンマが言った。
「これが答えなのね。残念だわ」
マンマの十本の指先が、レラに向いた。
マンマの指から銃弾が連射される。
レラの弾丸はマンマの身体を破壊する。
しかし、それも一瞬。
瞬く間に、元の姿に戻るマンマは不敵な笑み。
マンマの弾丸はレラに当たらない。
レラの身体は自在に伸び縮み、巧みに攻撃をかわし続ける。
かつては「お母様」「愛する娘」と呼び合った義理の親子は今、殺意の弾丸を交換し合う。
相手の息の根を止めるために。




