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横っ飛びしたため、地に伏せた姿勢のレラに銃撃が襲いかかる。
レラは身体を溶かし、伸ばした。
マンマの弾丸が地面を削る。
「なるほど、器用ね」
マンマがレラを称賛した。
「でも、いつまで続くかしら? 私の、この銃は弾切れしないのよ、レラ。何故なら、私の再生システムが無限に弾丸を造りだすから」
マンマの両手が、逃げたレラへと向く。
レラは駐車場から、研究施設の扉へと駆けだした。
走り抜けるレラの、すぐ後ろをマンマの銃弾が唸りをあげ、通りすぎる。
レラは両手を顔の前でクロスさせ、扉へと飛び込んだ。
扉が壊れ、レラが中へと姿を消す。
マンマからは見えなくなった。
マンマが銃撃を止める。
「まあ、レラ」
口元に右手の甲を当て、美しい指を反らせる。
「ここまで来て逃げるなんて。それとも」
ニヤリと笑った。
「私を誘っているのかしら?」
言いおわると同時にマンマが走りだした。
速い。
レラが姿を消した建物へと侵入する。
入口に書かれた大きな文字が一瞬、マンマの眼に映った。
「宇宙開発研究センター」
それも、つかの間。
マンマはレラの後を追った。
前方に大きな鋼鉄製の扉が現れた。
左右に開かれている。
マンマは扉を通り、広い空間へと出た。
照明が明るい。
部屋の中央にレラが立っていた。




