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背後のレラを見る。
「普通に戦えば、君もマンマも、お互いを倒せず最終的には…」
「あたしが時間切れになる」
「そうだ」
メフィストが「お手上げ」のポーズをした。
「時間はマンマの味方。こっちは積極的に仕掛けていかないとならない」
「難しい?」
「まずはマンマの再生のメカニズムを調べないと。それさえ分かれば、弱点を突けるはず。マンマの過去も洗ってみるかな」
「どのくらい、かかる?」
「僕は天才だよ」
メフィストが、おどけて見せた。
「実はもう、だいたいの目星はついてる。それが当たっていれば」
左右で色の違う瞳がテラテラと輝いた。
「マンマは半分、棺桶に脚を突っ込んだようなもんだ」
「そう」
レラが興奮を抑え、頷く。
「ついに君の復讐が完成するね。そのときには、ぜひ、どんな気持ちか聞かせて欲しい」とメフィスト。
「ええ」
レラが再び、頷く。
メフィストがレラの手伝いをする条件は、それだった。
今さら、約束を違えたりはしない。
「それと…」
珍しくメフィストが、口ごもった。
「何?」
「復讐が終わったら…」
メフィストがレラを見つめた。
レラも見つめ返した。
もう、何となくは気づいていた。
確かに異常な出逢い、異常な状況、そして異常な2人だった。




