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「何だ、あの女?」
ジローは首を傾げた。
「ジロー!」
ラスプーラに駆け寄ったモッキュが叫んだ。
「ラスプーラが死んじゃってる!」
ジローは大きく、ため息をついた。
まったく、何だっていうんだ。
クレルラモア宇宙港の使われていない倉庫。
「バイパー」の幹部マンマ・ハッハは、たった1人で敵対組織「フェンリル」の精鋭部隊「ウルフファング」と対峙していた。
「ファング」は15人。
それぞれがコンバットスーツに身を包み、ヘルメットを装備。
アサルトライフルやオートガンで武装している。
「マンマ・ハッハも部下を全員、失えば形無しだな」
「ファング」の指揮官が言った。
「もう誰も、お前を守ってはくれんぞ!」
指揮官はマンマを嘲った。
「まあ」
マンマは美しい扇で、口元を隠しつつ言った。
貴婦人のドレスはスカートの部分が大きく、きらびやかなデザイン。
両手にはシルクの白手袋。
頭には小さめの、おしゃれな帽子を被っている。
マンマのエメラルド色の瞳が輝いた。
「部下が私を守る? 何を寝ぼけたことを言ってるのかしら、このマヌケな猿は」
「何!?」
マンマの侮辱に指揮官は顔を真っ赤にした。
「私は誰にも守ってもらう必要はありません。何故なら」
マンマが扇をピシャリと閉じた。
「私が最強だからですわ」
「好きにほざけ! 今から、お前は死ぬ!」
指揮官が手を挙げ、部下に合図した。
「ファング」全員が銃を構える。
刹那。
マンマのボリュームあるスカートが、めくれ上がった。
スカートの中から4体の幼い子供ほどの体格のアンドロイドが飛び出した。




