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「何故、銃を換えた? あのとき、お前は俺を殺す気が無かった。何故だ?」


「あの銃は」


 女が答えた。


 鈴の音を鳴らすような声。


「ダミーの弾丸を装填してある。買い物客や、ジローとモッキュに当たっても怪我をさせないために」


 そうか。


 女はジローとモッキュと示し合わせてはいなかった。


 ジローに俺を攻撃させるためにダミーで銃撃したのか。


 撃たれたと思ったジローは俺に気づき、攻撃してくる。


 俺がジローにかまけているうちに接近する策略か。


 警戒すべきはジローではなく、女のほうだった。


「シーア・デスモティア」


 女が言った。


 ラスプーラは思い出した。


 かつての仲間を。


「レラか!!」


 ラスプーラが言った。


 生きていたのか!


 道理で俺の能力を知っているはずだ!


 デ・レラ!


 これで俺に勝ったつもりか?


 俺はまだ、諦めんぞ!


 ラスプーラが振り返った。


 レラの両手が伸び、ラスプーラの顔を左右から挟んだ。


 首をひねり折ろうとするレラの身体をラスプーラのサイコキネシスが捕らえた。


 すさまじい圧力が、レラの身体を押し潰そうとしてくる。


 が。


 その力が、すぐに緩んだ。


 ジローの撃った銃弾が正確にラスプーラの四肢に1発ずつ、計4発、着弾したからだ。


「ぐっ!!」


 うめく、ラスプーラ。


 自由になったレラがラスプーラの首を掴んだまま、右回りで上に跳ねあがった。


 空中を側転するような動き。


 ラスプーラの首が大きな音を立てて、へし折れる。


 ラスプーラが死に、倒れた。


 ジローは見た。


 赤いワンピースの裸足の女がショッピングモールのガラスを突き破り、外へと飛び出すのを。


 女は街並みへと走り去った。

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