78
たとえ、どんな攻撃を受けようとラスプーラの鉄壁の防御は崩せない。
相手の罠を逆手にとり、捕らえ、敵の全容を掴んでやろう。
そう、ラスプーラは考えた。
乗ってやるよ、この戦い。
惑星クレルラモンの大都市クレルラモア西地区に位置する巨大ショッピングモール。
1階の入口近くにあるコーヒーショップの客席のひとつに、その女は座っていた。
豊満な肉体をタイトで真っ赤なワンピースに包み、赤いバッグ、赤いハイヒール、幅広の赤い女優帽子。
顔は上半分が隠れている。
官能的な唇に引かれたルージュもバラの赤。
女は小型タブレットの画面を見ている。
誰かを待っているのか?
ショッピングモールの入口には何人もの人々が出入りしていたが、その中に3人の男が現れた。
「千里眼」ラスプーラと、体格の良い護衛の2人。
「情報を売る」と言ってきた謎の人物が会合に指定してきたのが、昼間の、この場所だった。
襲撃を回避するための用心か?
だとすれば、そいつは「バイパー」を舐めている。
どれだけ一般人が居ようとクレルラモア警察が駆けつけようと、「バイパー」は戦闘を避けるような臆病者の集まりではない。
まあ、情報が本物なら、それでいい。
これが罠なら、敵を捕らえ拷問にかけ、情報を引き出す。
極めてシンプルだ。




