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「バイパー」に入団したラスプーラは、サイコキネシスの限界量を増すサイボーグ手術を受けた。
頭部と接続された両眼の部分までを隠す白いヘルメットが、その証だ。
ラスプーラは、すでに30代半ばだが、あまり組織内での出世には興味が無く、部下も増やしてはこなかった。
純粋に敵をねじ伏せるのが楽しかったのだ。
そんなラスプーラに「バイパー」の幹部、マンマ・ハッハが目を止め、自分のチームに勧誘した。
それが3年前だった。
今や、そのチームもマンマ以外に残ったのはラスプーラ1人。
恐怖は無かった。
自分の能力に自信がある。
元々、群れる性質でもない。
他のメンバーを殺した敵が襲ってきても、そいつは後悔するだろう。
いつも通り、始末してやるだけだ。
そう考えていると、ラスプーラに接触してくる人物が居た。
「マンマのチームを襲っている敵の情報を買って欲しい」という内容が、匿名のメールで送られてきた。
情報はラスプーラ本人に会って渡すという。
怪しい。
明白な罠だった。
が。
ラスプーラは、その相手に会うと決めた。
今のところ、敵の情報は皆無だ。
イジーとワールが、いろいろと探っていたらしいが、美しい姉妹はこのところ消息を絶っている。
おそらく、殺されたのだろう。




