63
「「斬って斬って、細切れにしてやるわ!」」
2人が同時に言った。
かつて、曲がりなりにも姉妹として過ごした3人の女たちの、スクラップ山頂への「死の舞踏」は続いた。
ステップを早め、相手のリズムを読み合う。
前へ後ろへ右へ左へ。
生命を賭けたダンス。
魂のハイテンポ。
スクラップの山の頂上へとレラは立った。
イジーとワールの剣が、レラの右肘を切断する。
瞬間。
後方へと跳んだレラの右脚の強烈な蹴りが、足元のスクラップを叩いた。
スクラップから、地鳴りのような重低音が響く。
3人の立つ足場が、雪崩の如く崩れ始める。
レラは後方へ、イジーは右へ、ワールは左へと逃げた。
崩壊が止まらないスクラップの波の上を、3人はジャンプする。
山が、半分ほどの高さになったところで、ようやく、雪崩れは落ち着いた。
イジーは、周りを確認した。
目前は、崩れたスクラップの新たな壁。
さらに辺りを覆う濃霧。
「あの女、アタシたちを分断するつもり?」
イジーは、小首を傾げた。
無駄なあがき。
さっきの戦いで、あの女の力量は分かった。
たとえ1対1でも、アタシの敵じゃない。
とはいえ…。
早くワールと合流するのが、安心なのは確かね。
イジーは襟元にある通信機で、ワールを呼んだ。




