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「気安く呼ぶでない、役立たずめが!!」
レラの髪を掴んでいたマンマの手が、猛烈な勢いで、床に向かって振り下ろされた。
レラの顔面が叩きつけられる。
「がっ!!」
レラの顔が床でバウンドした。
うつ伏せで倒れるレラ。
動こうとしても、身体に力が入らない。
寒気が全身を蝕んでいた。
「私の期待を裏切ったお前には、死だけでは足りぬ」
倒れているレラに、マンマが続けた。
「お前の妹を血祭りにあげてやりましょう」
恐ろしく冷たい口調。
マンマの言葉に、失血によって、もはや動けないはずのレラの身体が反応した。
両手を着き、血まみれの顔をあげる。
憎悪に燃え盛る双眸が、マンマの顔をにらんだ。
「シーア・デスモティア」
レラが、しぼり出すように言った。
ターコートの砂漠の民の言葉。
意味は「地獄に堕ちろ」
「「アハハ!」」
イジーとワールの嘲笑。
「砂漠トカゲの言葉など分からないわ」とイジー。
「お前の妹はアタシたちが散々、いたぶって殺してやるから、心配せずに死になさい!」とワール。
「この女には、俺が罰を与えよう」
ジェロニムの声。
「お止めなさい」
マンマが言った。
「しかし」とジェロニム。
「このガラクタは私の物。お前のルールは、お前の獲物だけに適用なさい。それとも」
マンマの眼がギラついた。