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「ホント、驚きだわ」とワール。
ブォォォン。
空気を震わせる重低音が響いた。
レラは、この音に聞き覚えがあった。
姉たちが使うビームソードの音だ。
普段は左右の手首の中に収納されており、使用するときには手のひらに柄の部分が、せり出してくる。
柄を握ると、ビームが剣の形状に発生する。
2人はその剣を使って、敵を縦横無尽に斬り刻むのだ。
「この猿、しつけがなってないわね」
イジーが言った。
「今、この瞬間からアタシたちの質問に答える以外は、一言も喋るんじゃなくってよ」
ワールが言った。
「あと4分だ! 僕が、どんな目にあわされても気にしなくていい! あと、これだけは必ず守って欲しいんだが研究室の中で戦うのだけは、やめてくれ! いいかい、とにかく戦えるまで待つ、そして戦うのは研究室の外だ! これだけは絶対に守っ」
そこまで言ったところでメフィストの絶叫が、倉庫内に響き渡った。
「この猿、言葉は喋れるのに、こっちの言葉の意味は分からないみたいね」とイジー。
「そうねぇ。アタシたちの質問に答える以外は、喋るなって言ったのに。アラアラ、痛そうね、手のひらに穴が空いちゃったものね」
ワールが言った。
(メフィスト!!)
レラは物陰から飛び出しかけた。
「あと、3分だ! 僕は大丈夫! 100%、気にしなくていい!」
メフィストの声。
息が荒い。
「まあ。この猿、頑張るわね」
ワールが言った。
「さっきから、誰かに呼びかけてる。アタシたちの仲間を殺した女が、どこかに隠れてるのね」
イジーが言った。
「でも、アタシたちはコソコソしてる奴をバタバタと捜したりしない」




