55
アンドロイドの厚い装甲に、溶けたような穴があった。
また、壊された。
2体、3体、4体。
テンマが視界を切り替える。
分からない。
見つけられない。
このままでは1体ずつ、謎の女に倒されて、最後は…。
女が隠れずとも倒せる数にアンドロイドが減った時点で、テンマの敗けが確定する。
テンマを恐怖が支配した。
常に圧倒的に。
常に有利に。
本体をアンドロイドの森に隠し、安全な状態で、数を頼りに敵を屠ってきたのだ。
こんな…こんな不利な戦いはしたくない。
恐ろしい。
殺されるかもしれない。
死が恐ろしい。
こんなリスクは要らない。
5体、6体、7体。
ひしめくアンドロイドたちの中、ゆっくりと劇場の出口へと後退する1体が居た。
突如、後ろを向き、出口に向かって走りだす。
ズシリ。
出口に向かうアンドロイドの両肩に、何かの重みがかかった。
「ずいぶん、早かったね」
女の声。
アンドロイド…いや、アンドロイドに偽装したテンマ本人は、自分の両肩に女が立っているのを認識した。
「あたしの変身を印象づけてから姿を消せば、お前は怖じ気づくと思ってた」
女の冷たい声が続く。
「お前にも選択肢はあった。アンドロイドを減らす結果になっても、お互いを攻撃し、あたしを見つける選択。あたしと戦う勇気があれば、出来たはず」
「グゥ…」




