46
両腕の前腕部の強化骨格に装着されたエネルギータンクを使用する。
タンクが小さいため、1度しか使えないが不意討ちの効果は絶大だった。
変形していたレラは文字通り、雷に撃たれたようになった。
ジェロニムの手を避けるために変化していた身体が、元に戻る。
全身がショートし、焦げ臭い煙があがった。
レラが、その場に倒れた。
すぐに立ち上がろうとするが、身体が痺れて動けない。
レラは今までジェロニムの、この電撃攻撃を見たことがなかった。
おそらくは秘中の秘。
ジェロニムは獲物と一騎討ちするのを好んでいた。
強敵にしか使わない奥の手ということか?
(くそっ!!)
レラは心の中で悪態をついた。
この男、強い。
「お前は弱い。弱さは罪だ。罰を与えねばならん」
ジェロニムが仁王立ちで、レラを見下ろした。
レラの脳裏に、惑星シャールの地下鉄駅内での記憶が甦った。
あのときもジェロニムは、同じ台詞を言った。
(以前のあたしは死んだ。この男を乗り越える。そして、マンマを殺す)
「死ね、女」
ジェロニムがレラの首に手を伸ばす。
その両手が。
止まった。
レラはジェロニムの顔を見上げた。
ジェロニムの顔は。
ひどく青ざめていた。
たくましい腕が、微かに震えている。
「むう…」
ジェロニムが息を吐いた。
右ヒザを地面にドッと着く。
「何だ…これは…?」




