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打撃点を、ずらされたレラの蹴りはジェロニムのガードを崩せない。
ジェロニムがレラに、のしかかった。
左手がレラの首を掴み、押さえつける。
右手のパンチが、レラの顔面を打とうとする。
瞬間。
レラの頭がグニャリと歪み、あり得ざる形状で、ジェロニムの拳をかわした。
レラの右ヒザ蹴りが、ジェロニムの左耳へと唸りをあげて迫る。
ジェロニムはレラの首を離し、サッと退がった。
レラが瞬時に立ち上がる。
「女」
ジェロニムが言った。
「お前が3人を殺したな」
ガーウィン、マスル、キシャールのことだ。
女は答えない。
「だが」
ジェロニムが続けた。
「お前の能力は理解した。お前は俺より弱い」
ジェロニムが両腕を左右に大きく広げ、構えた。
レラも左腕を前に出し、斜めに構える。
「来い、女!!」
ジェロニムが吼えると同時に、レラの身体が疾った。
ジェロニムへと突っ込んでいく。
ジェロニムの広げた両腕が、左右からレラへと掴みかかった。
速い。
レラはジェロニムの両手が自分を掴む直前に、グニャリと変形した。
「剛腕」マスル戦と同じく、敵に触れさせない。
しかし。
突如、ジェロニムの両手のひらから、激烈な光が輝いた。
高圧の電撃。
ジェロニムの両手の指先に隠された電極から、放電されたものだ。




