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ジェロニムが頷くと、少年が、その細く美しい指に1本につき1色の染料を付け、ジェロニムの精悍な顔の肌に複雑な模様を描き始めた。
必勝の、まじない。
戦士の証だ。
しばらくして、少年の手が止まった。
ジェロニムの顔に、立派な戦化粧が完成していた。
少年がテントを出る。
「では行け、ジェロニム。行って、我ら部族と、お前の主『死なぬ女』マンマ・ハッハに勝利を捧げるのじゃ!」
族長の声がテントに響いた。
ジェロニムは立ち上がった。
「必ずや勝利を」
そう言って、ジェロニムはテントを後にした。
近くに停めていた重武装のバギーに乗り込む。
エンジンをかけ広がる荒野へと走り出した。
30分後、ジェロニムのバギーは「挑戦状」に書かれた指定場所に、時間通りに到着した。
まだ太陽は頭上にある。
荒野の真ん中に1台のバイクが停まっていた。
銀色のボディとカウル。
バイクの横には1人の女が立っている。
ターコートの砂漠の民にして、元「バイパー」構成員、復讐者デ・レラ。
通常モードの姿だった。
ジェロニムがバギーを停めた。
2人の距離は100m。
バギーを降り、荒野に立つ。
「女! 貴様が俺に挑戦するのか!?」
ジェロニムが大声で言った。
「そうよ!」
レラが答える。
「女! 名乗れ!」
ジェロニムの問いをレラは無視した。




