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いくら抜け駆けしたとはいえ、死にかけている義妹を見捨てようというのか。
姉たちの自分に向けられた増悪とは、そこまでのものだったのか。
現状を甘く見ていた。
レラは背筋が凍った。
死の足音が聞こえてきた。
「ガツビィたちはもう、この付近には居ない」
男の声。
「チッ。残念だぜ。オレなら、ジジイの1人や2人、簡単に叩き潰してやれたのにな」
別の男の声。
この声たちにも、レラは聞き覚えがある。
マンマ・ハッハのチームメンバー、「操り師」テンマと「剛腕」マスル。
テンマが操る無数のアンドロイドたちが、駅周辺を調べ尽くしたに違いない。
「クククッ。単細胞ゴリラじゃ、無理だろうぜ」
これは「闇爪」キシャール。
「何だと、この貧弱コウモリが!」
マスルが吼えた。
「お前たち2人が出る幕は無い。俺の1発で終わりだ」
「魔弾」ガーウィンの声。
「この野郎!!」
再びマスルが怒鳴る。
「やめよ」
これは「千里眼」ラスプーラ。
ガツビィを倒すためにマンマは、チームのほぼ全員を召集したのか?
朦朧とし始める意識で、レラは考えた。
マンマ以外で、この場に居ないのは。
「その女は弱い。弱さは罪だ。罰として殺さねばならん」
居た。
落ち着いた、男の声。
古の戦闘民族の末裔「戦士」ジェロニム。