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あたしとメフィストは、お互いを利用し合うだけ。
ギブアンドテイクの関係。
そう、気を引きしめないと。
マンマを殺し、ミアの仇を討つまでの関係。
「そうだ!」
メフィストが手を打った。
「今日のセーブをしないとね」
「セーブ?」
「前にも言っただろう? 僕は無駄になるのが嫌なんだ。無かったことになるなんて、耐えられない。最初から、やり直すなんて論外だよ。だから毎日、ちゃんとセーブする」
レラは首をひねった。
メフィストが何を言っているのか、まったく分からない。
お茶を飲み干したメフィストはモニター群の前へと移動して、何やらブツブツ呟き始めた。
「よし、セーブ完了。もうひとつのカプセルも…順調だな…もっと成長してから記憶を…細胞からの…」
その真剣な様子を見て、レラは肩をすくめた。
右端のディスプレイから、通信音が鳴った。
画面に何者かの姿が映る。
「メフィストさん」
かわいらしい声。
「やあ、モッキュ」
メフィストが言った。
満面の笑みだ。
レラは通信の相手を見た。
「クマ?」
画面に映っているのは、かわいい小熊型宇宙人の顔だった。
小熊型宇宙人のモッキュ。
レラは思い出した。
「バイパー」が賞金を懸けた者の1人だ。
モッキュは賞金稼ぎ。
ある研究施設で遺伝子操作の末に生まれた究極の兵士「ハイブリッドソルジャー」のジローとコンビを組んでいたはず。
ジローとモッキュはメフィストと知り合いなのか。
「どうしたんだい?」とメフィスト。
「この前、造ってもらった発信器ナノマシン、すごく役に立ちました」
モッキュが言った。
「そうか! そいつは良かった!」
メフィストが答える。




