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 そういえば、暗視スコープを使って、俺と同じように敵を襲う奴が居たな…。


 誰だったか…?


 マンマの部下で…誰だったか?


 強烈な打撃を頭部に受け、サイボーグの頭蓋内の脳が激しく揺れ、視界が歪み続ける状態で、キシャールは立ち上がった。


 反撃しなければ、殺される。


 いや、まずは逃げなければ…。


 しかし、鳴り響く重低音の音楽で、全てのものの位置が掴めない。


 敵はどっちだ?


 俺はどこを向いている?


 そう考えた刹那。


 猛烈な暴風のような打撃の嵐が、あらゆる角度からキシャールに襲いかかった。


 右に飛ばされては左に戻され、前に倒れそうになれば突き返され、後ろに倒れそうになれば引き戻される。


 ダウンしたくても敵の攻撃が、それを許さない。


 延々と続く無限の打撃。


 死ぬ。


 このままでは殺される。


 全身の感覚が鈍くなってきた。


 俺は死ぬのか?


 始まったのと、全く同じように突然、打撃が止んだ。


 そういえば、いつの間にか、あれほど鳴っていたBGMも止まっている。


 耳元で女の声がした。


「シーア・デスモティア」


 ああ…。


 ターコートの砂漠の民の言葉?


 意味は…何だったか?


 暗視スコープを使う格闘スタイルの敵…女…ターコートの言葉…誰だったか…そんな女が居たような…そんな気が…思い出せない…だいたい、ここはどこだ?


 俺は…俺は…誰だ?


 キシャールは自らの後頭部に、背後に立つ敵の足の踵が、ゆっくりとめり込むのを感じた。


 女が振り上げた右脚を、踵からキシャールの頭へと落としているのだ。


(死ぬときにスローモーションになるというのは、本当だっ)


 キシャールの思考は、そこで絶えた。


 暗闇だけが、ダンスフロアに残った。




「『魔弾』『剛腕』『闇爪』と3人を倒したわけだが…とうだい、どんな気分だい?」


 穏やかな午後のひととき。


 ターコートで収穫されたスパイスを効かせたオリジナルのお茶をすすりながら、メフィストがレラに訊いた。


「どうって?」とレラ。

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