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「姉さんたち、助けて!」
レラが言った。
切迫した懇願。
「アラ、あなた聞こえた?」
「ウフフ、さあ、何かしら? 砂漠の獣の言葉は分からないわ」
先ほどの女たちの声。
「バイパー」の幹部マンマ・ハッハの娘たち「イジー」と「ワール」。
ライトの前に立つ2人の、スラリとしたシルエット。
2人は同時に、その美しい長髪を、かきあげた。
「惨めな姿ね。アタシたちを待たずに『早撃ちガツビィ』に挑むなんて、とんだ身の程知らずが」
イジーが言った。
その口調には、ハッキリとした侮蔑が込められている。
「姉さん、許して!」
激しい苦痛に耐えながらレラが、うめいた。
「姉さん!? 姉さんですって!?」
ワールが嘲笑った。
「お前みたいな砂漠トカゲを妹にもった覚えはない! お前の姉妹は、もう一匹のトカゲだけよ!」
レラは絶望に、打ちひしがれた。
姉たちとは、ずっと折り合いは悪かったが、それでも家族として行動してきた絆は存在すると、どこかで信じていた。