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 しかし、首には依然として、腕が巻きついている感覚がある。


 今度は両手で首の後ろを探る。


 が。


「?」


 やはり、何も掴めない。


「な、何だ、テメェは!?」


 理解不能な事態に、マスルは動揺した。


 視界の端に、女の栗色の髪が見える。


 居る。


 やはり、女は居る。


 それは間違いない。


 では何故、女の身体が掴めないのか?


 マスルの大声を聞いた、女を連れてきた手下が部屋に入ってきた。


「ボス!?」


 マスルの緊迫した様子に驚いた手下が、そう言った途端。


 その顔面に、細いナイフが突き立った。


 声も出さずに手下は倒れた。


 ナイフだと!?


 女がナイフを持ち込んだ?


 いったい、どうやって?


 どこに隠していたのか?


「クソがっ!!」


 マスルが吼えた。


 そして。


 手下が入ってきた扉側の部屋へと、猛然と突進した。


 壁に激突する。


 マスルの鋼鉄の身体はコンクリート製の壁を楽々とブチ破り、隣のフロアへと抜けた。


 辺りにコンクリートの破片が飛び散る。


「何だ!?」


「敵か!?」


 マスルと銀行を襲った手下の9人が、武器を手に慌てて集まってくる。


 マスルは男たちに背を向け、叫んだ。


「おい! オレの背中の女を撃て!」


 男たちは混乱した。


 が、だからこそ、素直に自分たちのボスの言葉に従った。


 男たちの銃では、マスルはダメージを受けない。


 遠慮なく攻撃できる。


 マスルは手下たちの銃撃を待った。


 5秒。


 10秒。


 15秒。


「?」


 静寂。


 マスルは背後に向きを変えた。


 手下は全員。


 倒れていた。


 1人目の男と同じように、顔や首筋にメスのような形状のナイフが刺さっている。


 皆、死んでいた。


「ふざけやがって!!」

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