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手下がニヤニヤしながら、部屋から出ていった。
ドアが閉じられ、中にはマスルと女が2人きり。
マスルは傍らのステレオデッキに手を伸ばした。
スイッチを入れると、部屋にムーディーな音楽が流れ始めた。
「踊れ」
マスルが命じた。
女は頷き、ガウンをゆっくりと艶かしい動作で脱ぎ捨てた。
素晴らしいプロポーションを、極端に少ない布地の下着が隠している。
いや、もはや裸と言ってもいいだろう。
ハイヒールは脱がない。
女は美しい栗色のボリュームのある長髪をかきあげ、BGMに乗り、踊りだした。
扇情的な動きと眼差しで、マスルを挑発する。
後ろを向き、尻を突きだし、顔だけを振り返らせる。
親指を咥え、マスルにウインクをした。
口を尖らせ「チュパッ」と鳴らしてみせる。
瞳を潤ませ、マスルを欲しがる素振りを繰り返す。
(なかなかの上玉だな)
マスルは思った。
これから、オレのアレで、この女を責めたてる。
オレが満足するまで、何回も昇天させてやるぜ。
マスルは興奮で鼻息が荒くなった。
「女」
マスルが言った。
「来い」
女は、しなを作り、ゆっくりとマスルのそばに寄った。
マスルの目の前で、再び背を向ける。
大きく脚を開いて座るマスルの股間の上に、ハリのある尻を、そっと降ろした。
マスルの大きな手が、背後から女の身体に伸びる。
マスルの右手は女の右の乳房を、わし掴み、左手は女の腰を撫で回した。
女が喜びの声をあげる。
マスルがいよいよ、本格的に事に及ぼうと、少し腰を浮かせた、そのとき。
女の姿が消えた。
「ぬっ!?」
マスルが戸惑いの声を発した。
女は瞬時に自分を愛撫する手から、すり抜け、マスルの顔を両手で挟み、それを中心にして弧を描き、飛び上がったのだ。
そして、マスルの顔を両手で掴んだまま、逆立ちの体勢で停止した。
それも、一瞬。
さらに後方へと弧を描くと、女はマスルの背後へ、スルリと落ちた。
艶っぽい動きで、その細腕をマスルの太い首に巻きつける。




