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狙撃中に邪魔されないための配置だ。
ガーウィンは屋上の端まで行くと、2脚のスタンドをセットし、スナイパーライフルを置いた。
自らも寝そべり、ライフルを構える。
ガーウィンの機械眼は、スコープを使わずとも、3000m先まで見通せる。
そのため、スナイパーライフルにはスコープは装着されていなかった。
2000m先のビルの上層階の1室に、ガーウィンはターゲットを確認した。
ガラスに囲まれたオフィス。
一般企業のCEOという隠れみのを被った犯罪組織のボス。
現在は「バイパー」と敵対している。
マンマ・ハッハからガーウィンに下されたのは、この男の殺害命令。
速やかに遂行せねばならない。
ガーウィンは照準もそこそこに、ライフルの引き金を引いた。
本来、狙撃とは充分な時間をかけ、行われる繊細な作業である。
それをガーウィンは恐ろしく雑に、やってみせた。
それは何故か?
スナイパーライフルから発射された弾丸は、ただの弾ではない。




