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ガーウィンの名を聞いたレラは、メフィストの背後に立ち、マクスウェルが映った画面に顔を寄せた。
「ガーウィンは、どこに居るの?」
「あれ!? 女の子!? ドクター、彼女が出来たのか!?」
マクスウェルが驚いた。
「早く答えて!」
レラが急かす。
「ドクター! 彼女に教えていいのか?」
マクスウェルの問いに、メフィストは軽く手を振った。
やはり、マクスウェルの顔は見ない。
「彼女が、ガーウィンを捜してる」とメフィスト。
マクスウェルは、ため息をついた。
「オーケー。じゃあ、教えよう。最近、『バイパー』絡みの仕事ばっかりだな。そういえば、チャツネの奴、まだこの前の情報の支払いを」
「早くして!」
ミアの復讐への第一歩を焦るレラは、マクスウェルが口にした、自分と戦った殺し屋の名前にすら、気づかなかった。
ガーウィンの居場所で頭がいっぱいだった。
「奴はザウムウッドに向かってる。『バイパー』と縄張り争いしてる、表向きは一般企業だが、正体は犯罪組織のCEOを狙ってるようだ。奴の得意の『魔弾』で始末するつもりだろうな」
マクスウェルが言った。
ザウムウッド。
ミアの殺された星。
マンマのチームへの復讐のスタートとしては、ふさわしい場所だ。
「ガーウィンの動きを追跡しておいて」
レラが言った。
「ああ、分かった」とマクスウェルが答える。
「ところでドクター、今回の情報の支払いだが、残りの半額を」
メフィストがマクスウェルとの通信を、ぶち切った。
「レラ」
メフィストがレラの方を向いた。
「何故、1人目をガーウィンに?」
メフィストが訊ねる。




