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全体が、ガラス製に見える。
「これを両眼に当ててみて」
「何なのこれ?」
「魔法の変身ツールだよ。君を最強の戦士に変えてくれる。いいから、とにかく掛けてみて!」
レラは変わった形状のメガネを、もう一度、確かめた。
やはり、ガラスのメガネにしか見えない。
メフィストはニコニコと、レラに笑顔を向けている。
レラは観念した。
今は、この狂人に付き合うしか道はない。
レラはメガネを右手に持ち、両眼に当てた。
ガラス状のメガネは、レラの肌に触れると、グニャリと溶けだし、瞬時にレラの顔に吸収された。
ガラスのメガネは完全に消失した。
何も。
起こらなかった。
レラがメフィストの顔を見る。
メフィストが、ニヤリとした。
「君の前の身体をイメージしてみて」
メフィストが言った。
今度は何?
呆れながらもレラは、その言葉に従った。
「それで?」とレラ。
「元の姿になろうと念じてみるんだ」
はぁ。
レラは、ため息をついた。
意識を集中した。
次の瞬間。
レラの全身がアメ細工のように溶け、流動した。
全てが瞬時に変質する。
そこに立っているのは、ターコートの砂漠の民、ガツビィ・ブロウウィンの銃弾によって殺される前の、デ・レラだった。
「これは!?」
レラは自身の変化を認識し、驚きの声をあげた。




