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疑いの眼差し。
「うん? 眼が開かないのかい? 何かの不具合かな?」
メフィストがレラの両眼に手を伸ばし、指で広げだした。
「何なの、この身体は?」
レラが言った。
レラの年齢と外見相応の声。
機械音声でないのは良いものだ。
怒りを抑えた、微かに震えた声。
メフィストはレラの顔から、手を離した。
「問題は無さそうだ! 良かった!」
「良くない!」
レラが怒鳴った。
「わ! 何だよ、急に大声だすと、こわいだろ」
メフィストが怯える。
「私は、あなたに『復讐の手伝いをして』と頼んだのよ!『クッキーを焼きたいの』じゃない! なのに、何なの? この普通の女の子の身体は!?」
「うん? ああ! そのことか! それで怒ってるのか! なるほど、なるほど」
メフィストは笑いだし、何度も頷いた。
「その点は、まったく心配は要らない! 君の今の身体は僕が長年、温めていた最高傑作級のものだよ! あんな奴らに一切、引けは取らない!」
レラは興奮ぎみに喋るメフィストを見て、黙った。
やはり、薬をキメているのか?
「丁度良い! 今から、その身体のテストをしようと思っていたんだよ! それが済めば、僕が言ってることを納得してもらえると思う」
メフィストは机の上から、小さな物体を手に取り、レラに差し出した。
「つる」の無いメガネのような物だ。




