表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/109

12

 吊り下げられた遺体があった。


 身体中の傷跡が息を引き取るまでの、彼女の地獄の苦しみを如実に物語っていた。


 レラは絶叫し、慟哭した。


 メフィストは機械音声の激しい泣き声を聞きつつ、そっと地面にレラを置いた。


 メフィストが玄関に近づき、遺体を下ろした。


 メフィストの背中で、遺体が隠れた。


 レラからは見えない位置で、メフィストは小瓶をポケットから取り出した。


 ピンセットで遺体の傷口から一片の皮膚を剥がし、小瓶に入れると、素早く白衣にしまった。


 レラは悲しみのあまり、メフィストの動きには、まったく気づいていない。


「死後、1日かな。警察は来た形跡がない。『バイパー』を恐れて、事を構えたくないのか、それとも鼻薬を嗅がされたか?」


 そう言って、メフィストは再び黙った。


 時が過ぎた。


 レラの嗚咽が止んだのは、メフィストがミアの遺体をエアカーのトランクに積み、その後、辺りをウロウロと10周、回った頃だった。


 月は頭上からレラたちを優しく照らしている。


「さあ、君…あれ? まだ、名前を訊いてなかったな。まあ、名前なんて何だっていいんだけど。記号みたいなものだから」


 そう言ってメフィストは、レラを覗き込んだ。


「僕が、こんなところまで、わざわざやって来た理由の本題、要するに君が『バイパー』の奴らに復讐するつもりがあるのか? そして、それを僕に観察させてくれるのか?ってことなんだけど。もし、許可をくれるなら、僕は君の復讐を全力でバックアップするよ。どうだい? どうなんだい?」


 レラはメフィストの左右で色の違う瞳に、明らかな興奮を見た。


 こいつは狂ってる。


 他人の殺し合いを楽しむイカれた異常者だ。


 だから、何だ。


 あたしも狂ってる。


 無惨に晒されたミアを見た瞬間から、あたしも狂ってる。


 マンマ・ハッハと、そのチームを八つ裂きにするためなら、悪魔とだって取引する。


 シーア・デスモティア。


 地獄に堕ちろ。




「そろそろ、新しい身体にも慣れてきたかな、レラ?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ